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長引くうつ病に悩むあなたへ——2025年、障害年金の受給要件が緩和へ

「もう限界かもしれない……」そう思ったことはありませんか?
「誰か助けてほしいけれど、頼れる場所がない……」と感じたことは?
実は、あなたの生活を支えるための大きな制度改正が行われようとしています。



障害年金って知っていますか?

まず、障害年金についてご紹介します。障害年金は、病気やけがによって生活や仕事が困難になったときに、経済的な支援を受けられる年金制度です。うつ病、統合失調症、双極性障害などの精神疾患も対象となります。

多くの方が「年金」という言葉から、高齢者だけのものと思いがちですが、この障害年金は年齢に関係なく受給できます。若い世代でも、現役で働いている最中でも、適用される可能性があります。

原因となる疾患の初診日から、1年半以上経過している方は受給を検討されてみてください。

(※ほとんどの場合、医師から推奨されたりはしないので、自分で手続きを進める必要があります)

▼障害年金について(日本年年金機構)


これまでの障害年金のハードル

しかし、これまで障害年金を受給するためのハードルは決して低くありませんでした。

1. 年金未納期間の問題

障害年金を受給するためには、これまでの年金保険料をきちんと納めていることが条件でした。未納期間があると、それだけで受給資格を失うことも。経済的に困窮している方ほど、保険料の支払いが難しくなるため、この点が大きな壁となっていました。

2. 初診日の年金加入状況の不平等

さらに、障害の原因となる病気で初めて医療機関を受診した日の年金加入状況によって、受給できる金額が大きく変わるという不公平がありました。

例えば、長年厚生年金を納めてきた会社員が、うつ病の悪化で退職後に初めて病院を訪れた場合、その時点で国民年金に切り替わっているため、厚生年金としての障害年金が受け取れないのです。

3. 手続きの煩雑さと医師の協力不足

障害年金の申請手続きは複雑で、多くの書類を揃える必要があります。精神的に辛い状況で、年金事務所に何度も足を運んだり、書類を集めたりするのは大変な負担です。

さらに、医師の診断書が必要不可欠ですが、医師が障害年金の制度をよく知らなかったり、協力的でなかったりすると、適切な診断書を得るのが難しくなります。医師の性格や文章力によって、受給の可否が左右されるのは大きな問題です。


2025年、法改正案が打ち出されます!

こうした問題を受けて、2024年に厚生労働省で障害年金制度の見直しが検討され、2025年に約40年ぶりとなる大幅な改正法案が打ち出される予定です。この改正によって、障害年金の受給ハードルが大きく下がり、より多くの方が支援を受けられるようになる可能性があります。

主な見直し内容

1. 初診日の年金加入状況による不平等の解消

【現行制度】

  • 保険事故(障害となる病気やけが)の発生時点で厚生年金保険の被保険者でなければ、障害厚生年金は支給されない。

【見直し内容】

  • 過去に厚生年金を長期間納付していた方が、保険事故発生時に厚生年金の被保険者でなくても、障害厚生年金が支給される方向で検討

これにより、退職後に病気が発覚した場合や、初診日が国民年金加入中であっても、過去の厚生年金の納付実績が考慮されることになります。

2. 年金の遡及支給が可能に

【現行制度】

  • 障害認定日に障害の状態に該当しなかった者が、その後65歳までに該当する状態になった場合、請求日の翌月分から年金が支給される。

【見直し内容】

  • 障害の状態に該当した時点まで遡って年金が支給される方向で検討

これによって、申請手続きが遅れてしまった場合でも、遡って受給できるため、経済的な支援を受けやすくなります。

3. 保険料納付要件の緩和と特例措置の延長

【現行制度】

  • 初診日の前々月までの加入期間の3分の2以上で保険料を納付または免除されていることが必要。

  • 特例措置として、令和8年3月31日までに初診日がある場合、初診日前々月までの1年間に未納がなければ要件を満たす。

【見直し内容】

  • 特例措置の期限を延長する方向で検討

これにより、保険料の未納期間があっても、一定の条件を満たせば受給できる状況が継続。

4. 障害年金受給者の国民年金保険料免除の取扱い

【現行制度】

  • 障害年金受給に伴う、国民年金保険料の法定免除期間は、保険料納付済期間に算入されないので、障害年金の受給者は老齢基礎年金が減額されてしまう。

【見直し内容】

  • 障害年金受給期間を保険料納付済期間に算入し、増額を可能とする方向で検討

これにより、障害年金の受給者であっても、老齢基礎年金を減額されることがなくなります。

5. 就労状況による支給調整の見直し

【現行制度】

  • 障害年金は就労状況に関係なく支給される(ただし、一部例外あり)。

【見直し内容】

  • 就労や所得の状況に応じて、障害年金の額が調整される方向で検討

これにより、部分的な受給が可能となり、働きながらでも支援を受けやすいようになります。一方で、今まで受給できていた方が受給出来なくなる可能性もあるので、慎重な検討が求められます。


実際にどのような影響があるの?

受給者数の増加が期待されます

令和4年度の障害年金受給者数は約255万人(精神疾患以外の方も含む)ですが、うつ病などで苦しんでいる方は平成29年時点で400万人を超えています。その多くが障害年金の制度を利用していません。

制度の複雑さや情報の不足、厳しい受給要件など、様々な問題がありました。しかし、今回の改正によってより多くの方が支援を受けられる可能性があります。

経済的な負担の軽減

障害年金は、受給者の生活を経済的に支えるものです。うつ病などで働くことが難しい方や、収入が減少している方にとって、生活費や治療費の補助となります。


障害年金を受給したい場合

1. 情報収集を始めましょう

まずは、最新の情報を集めることが大切です。

▼障害年金について(日本年年金機構)

2. 専門家に相談する

手続きや要件について詳しく知るために、年金事務所や社会保険労務士、医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。無料で相談できる窓口もあります。

3. 信頼できる医師と連携する

障害年金を受給するための診断書の作成には、医師の協力が不可欠です。あなたの症状や状況を理解し、適切な診断書を書いてくれる医師とコミュニケーションをとりましょう。また、普段から、生活で困っていること(例:ご飯が食べられない、人と話せない)などを詳しく伝えておくことが大切です。

なお、現行の法制度では初診日に「厚生年金に入っていたか」「国民年金に入っていたか」によって障害年金の受給可否・金額がかなり変わるので、不調を感じたら、退職する前に病院に行くようにすることを強くオススメします。


「障害」という言葉にとらわれないで

「障害年金」という名前に抵抗を感じる方もいるかもしれません。しかし、「障害」というのはただの言葉です。きちんと年金を支払って来られた方なら、障害年金はあなたがより良い生活を送るための権利です。通常、受給していることが他人に知られることもありません。

また、障害者手帳とは別の制度ですので、手帳の有無は関係ありません。あなたが必要としている支援を受けるために、ぜひ前向きに検討してみてください。


さいごに

今回の制度改正は、多くの方にとって新たな希望となるでしょう。一度諦めていた方も、この法改正によって受給資格が得られるかもしれません。

あなたが少しでも楽になれるよう、制度を活用してみてください。経済的な支援が得られることで、ご家族のご負担も軽くなり、治療や生活に専念できるようになるかもしれません。

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参考資料


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