引きこもりだけど柴崎先生の絵画展見に行ったら幸せになれた
吾輩は引きこもりである。
引きこもりなのだが、2023年5月16日 〜 5月24日まで銀座で行われている、水彩画家・柴崎春通先生の絵画展に行ってきた。
柴崎先生はYouTubeで魔法のように素晴らしい絵画制作術を精力的に発表されている、おじいちゃん先生としておなじみの画家さんである。
先生の水彩画はやさしいタッチで、画板からあふれるような色彩が豊かに踊っている。
思えば私の祖父も絵をたしなむ人だったので、どこか懐かしく、先生が優しい声で解説してくださるYouTubeチャンネルは、私に癒しの時間を提供している。それが生で見られるなんて。
しかも、絵画展の期間、柴崎先生が実際にギャラリーにいらっしゃるらしい。一目でいいからお会いしてみたい。
ということで行くことにした。
しかし、前回映画を見に行ったのに引き続き、絵画展に出掛けていくとは、引きこもりにあるまじきことである。
全国引きこもり連盟の方はこう思っただろう。
「いや、お前、外に出とるやん。引きこもりのプライドは無いんか?」
待ってほしい。言い訳させてくれ。引きこもりの矜持は私にもある。
一口に引きこもりと言っても、対人恐怖症を始めとした何等かの恐怖症や、身体的な問題で外に出れない人もいれば、単にお家が大好きで外に意義を感じない、私のようなタイプもいる。
むろん、大した理由もなく外に出ることはない。ただ、家にいたい<○○見たい と天秤が傾いたときだけ、やむを得ず、外に出るのだ。私のことも引きこもりとして認めてほしい。一緒に引きこもりの星になろうぜ。
話が逸れた。とにかく絵画展である。
開催地は銀座のど真ん中で、私は時間通りに到着できる自信がなく、30分前を目標に銀座駅に着いた。
なんせ、引きこもりすぎて、銀座に来るのは……そう……軽く10年ぶりくらいかもしれない。
久々に来る銀座は様変わりしていた。以前と比べると圧倒的に外国人観光客が多い。昔は高級ブランドが立ち並ぶショッピングエリアだったが、今となっては観光地になっているようだ。
そんな観光客たちを後目に、配車アプリの広告をラッピングしたタクシーと、ウーバーイーツの配達員さんがそこら中を行きかっている。私の知っている銀座と違い過ぎて、SFマンガの一コマのようだった。そのうち、タクシーが空を飛びだしてもあまり驚かないと思う。
大通りから一本入った道に、目的地である黒いビルがあった。「銀座第七ビルギャラリー」。私はドキドキしながら受付を済ませた。
少し開いたドアから見える室内に、色とりどりの絵画が見える。私は感嘆のため息をつきながら、入れ替えの時間を待った。
時間が来て、中に入っていくと、本物の柴崎先生が出迎えてくださった。
わあ! 柴崎先生だ!
本物の先生はYouTubeで見るよりもなお、やわらかい雰囲気で、にこやかで、まわりがキラキラ輝くような、すてきな方だった。先生はなるべく一人ひとりに握手したり、ハグしたりして歓迎の念を表してくださっていた。
私はやむを得ない事情(※引きこもり)で子供の頃から忍者のように気配を消す修練を行っており、ドラえもんの石ころ帽子をかぶったかのごとく存在感がない。
なので最初は気づいてもらえなかった。
しかしいつものことである。そんなことでめげるようなカワイイ性格はしていない。
ひょこひょこしながらタイミングを見計らい、自分から声をかけることにした。
「こんにちは! YouTubeいつも見ています! お会いできて光栄です!」
元気よく声を掛けると、先生はパッと笑顔を向けてくれて、「ありがとう!」と言いながら、握手して、ハグ(!)してくれた。「後で一緒に写真を撮りましょう!」とまで言ってくれた。
なんだろう、この圧倒的な対応力……アイドルかな?
その後、短い時間ではあったが、一枚一枚、絵を拝見して、その筆運びの生々しさに驚嘆し、物販でしっかりとグッズを購入した後、柴崎先生との記念写真の列に並んだ。
もはやチェキ会である。柴崎先生はアイドルだったのだ。
私はニッコニコで写真を撮ってもらい、ホクホクしながら帰路についた。こんなにうれしそうな自分の写真は久しぶりに見た。
こちらは購入したグッズである。お守り、作品集2冊、ショッピングバッグ……。
しかし、お守りが売れるというのはすごいことである。本当にファンじゃないとお守りなんて売れなくない?
私もいつかお守りをたたき売りしたい。「安いよ安いよ~ご利益抜群! 何にでも効くYeKu守り! 普段は1つ2000円、今なら3つで1000円ぽっきり! おっとどうだいそこのお姉さん! 健康と幸福が一度にやってくるよ~」バンバン!
楽しそうである。
話が逸れた。
とにかく、銀座を練り歩くという引きこもりには難易度の高いクエストであったが、無事行ってこれたし、柴崎先生に直接、応援の気持ちを伝えられて嬉しかった。
絵が趣味だった祖父は、晩年、「手が動かなくなっちゃった」と言って絵を描くのを止めていたし、柴崎先生も動画内で、「この調子で頑張れるのは、あと数年かなと思ってます」というようなことをおっしゃっていた。
絵を描くということは、一生を通して楽しめるものと思いがちだが、実は時間制限のある喜びなんだなあ。
柴崎先生には、いつまでもお元気で、美しい絵や、その描き方を発信していていただきたい。先生が活動されることで、私も生きていく勇気をもらえるような気がするからだ。
そしてもし、絵から離れる時が来るとしても、たくさん残されたYouTube動画や絵で、先生のことをいつまでも思い出していたい。
今後とも心から応援していきたいと思う。
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