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専門機関に繋ぐ意味と活用のポイント

(8,874文字/個人差はありますが、約14分~22分程で読めると思います)

こんばんは。よこはま発達グループの佐々木です。
今回のコラムでは、このグループにご参加されている皆さんからお寄せ頂いたご質問にお答えしていきたいと思います。


どのタイミングで専門機関に繋ぐのか

先日、コンサルテーションの一環で4つの保育園・幼稚園の先生方向けのオンラインセミナーをさせていただきました。保育現場におけるサポートやそのアイデアが主なテーマで、その中で「早く療育機関に繋げたほうがいいのか。その場合のきっかけやタイミングはあるのでしょうか?」とご質問をいただきました。
   
難しいけれども、大事なテーマですから、この時に僕がお伝えしたことのいくつかを共有したいと思います。
  
特に大事なこととしてお伝えしたのは、下記二つです。

(1)「(早期療育や療育機関に繋ぐ)目的」を考える。
(2)「どう繋ぐかよりも、してほしくないこと」を意識してほしい。
   
では、それぞれどういうことなのか、もう少し詳しく書いていきます。   
  

(1)について。
早期療育が大事だとよく言われますが、皆さんは早期療育の目的をどのように考えますか?
   
誤解してほしくないことは、「早期に療育機関に通ったからお子さんが変わるわけではない」ということです。早く療育につながったら、スキルがどんどん身についたり、特性がなくなるわけでもありません。結果として、「特性が目立たないように見える」ということはありますが、これは特性が薄くなったわけではなく、お子さんの良さが良さとして発揮されやすい環境(周囲の関わり方を含む)が整ったからだと思います。
  
そのためには、「どのようなお子さんなのだろうか?」「どのように関わらせていただくといいのだろうか?」を考えていく必要があります。
    
医療機関や療育機関は、(立場的には)専門機関ですから、保育現場とはまた違った知識や視点があります(どちらが優れているというわけではなく、違いとしてという意味です)。ですから、そうした専門機関につながることで、また違ったお子さんの一面を知ることができ、周りの大人たちが、お子さんにとって安心できる関わり方を見つけやすくなり、お子さんも安心して生活できる時間が増えることが大切です。つまり、繋ぐことが目的ではなく、お子さんにとって良い関わり方を一緒に整理していくということです。
  
そう考えると、ただ専門機関にさえ繋げば良いわけではありません。

実際にお子さんに関わる時間が長いのは現場の先生方ですから、大変かもしれないけれども、子どもの発達や療育的な視点を知ることで、「みんなと同じように」ではなく、「このお子さんにとってわかりやすい、安心しやすい関わり方の工夫」ができれば、それはもう十分に療育的関わりですし、大きな支えになります。
   

(2)について。
これについては、皆さんはどう考えますか?今回の件に限ったことではありませんが、「どうしたらいいか?」というご質問には、プラスα何をしたらいいかという意味が含まれます。
   
でも、プラスαをすることだけが本当に支えになるのでしょうか。
むしろ、時には「引くこと」「やらないこと」も大事ではないでしょうか。
     

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