現場と共に実践した、お子さんの混乱から安定までの試行錯誤
(6,183文字/個人差はありますが、約9分~15分程で読めると思います)
こんにちは。よこはま発達相談室の佐々木です。昨日までコンサルテーションで鹿児島に来ており、合同会社PEACEさん(児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援)に訪問していました。1歳代のお子さんから、丁寧に、丁寧にサポートしてくださっている事業所さんです。ちょうど訪問していた時にも2歳のお子さんが利用しておられ、ご家族も療育のご様子を見に来ておられました。
お子さんは、好きなものは写真でわかるようで、好きな玩具の選択は写真カードを、行き先などは実物がわかりやすいようなので予定は実物で誘うようにしておられました。そして、どうしてそうした対応をするのか、自分たちの関わり方の意味をご家族にも丁寧に説明をしておられました。その上でお子さんのご様子を見ていたご家族は「見にきてすごく良かった。こんな風にしたらいいんだと思った。家庭でも取り組んでみようと思う」と仰っていました。
そうしたやり取りを見ていて、「これが療育機関の役割の一つだよなぁ」と感じました。PEACEさんはInstagramで色々な発信をしてくださっているので是非見てみてください。
▼合同会社PEACE
さて、今回は自分がこれまで対応してきたことのいくつかを共有したいと思います(個人情報の問題もありますから、適宜改変した上で)。
安定から混乱へ
特別支援学校を利用中のお子さん(発語はない)なのですが、療育機関ではいくつかの活動の中で自立課題に取り組む時間がありました。ただ、きっかけはよくわかりませんが、今まで取り組んでいた課題でも投げ始めるなどの行動が出てきたようです。現場としては、「もしかすると、今の課題に魅力もなく飽きているのかもしれない」と仮説を立てて取り組んでくれていました。課題の中身を魅力あるものにするように、お子さんの興味や関心の高い課題を取り入れようと思うとご相談をお受けしたので、仮説を立てて取り組むのはなんらかの発見が得られるので、それでやってみましょうとお伝えをしました。
その後、どうなったのかをお伺いすると、「全然うまくいきません。以前は一人で課題に取り組めていたけれども、そうしたことが全くできなくなってしまい…。今は課題のエリアに行くと教材を投げるので、そうしたことがパタン的にならないように、むしろ課題の時間をなくしており、遊びの時間を増やしています。ただ、それでいいのかわかりません」とご相談をお受けしました。
最終的には、以前のように安定して課題の時間を過ごせるようになった
勉強(課題)の時間を絶対に設けないといけないわけではありませんが、自分一人でわかって取り組めて、完結できる時間は、お子さんにとっての意味は大きいと思います。色々な意味がありますが、大事なことは「自分でできたぞ!」という実感を持っていただくことだと思います。
そうした積み重ねが「自分ってできるかも」という感覚につながってきます。こうした感覚を専門用語で「自己効力感」と言います。そうした感覚があると、はじめてのことでも「できるかも」と思いやすくなるので、無理なく経験を広げていきやすくなります。仮にうまくいかないとしても、「まぁ、今回はうまくできなかったけれども、前はできたし、次はできるだろう」と思え、必要以上に不安になったり、落ち込んだりもしません。
「自己肯定感が大事」とよく言われますが、それらの土台となるのが「自分ってできるぞ」と思える「自己効力感」です。そうした感覚を育むことにつながるので、自分でできる時間は大事なわけです。
さて、話を戻します。
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