「〇〇療法」、その根拠はあるのか?
(6,008文字/個人差はありますが、約10分~15分程で読めると思います)
こんにちは。よこはま発達グループの佐々木です。
今回は皆さんから頂いたご質問にお答えしていくQ&A回です。たまたまなのですが、「〇〇という療育はどうなんでしょうか?」と似たようなご質問を複数いただいたので、それらについて僕なりの考えをまとめていきます。
どうぞお付き合いください。
その前に、知っておいてほしい注意喚起
皆さんはrTMS療法というのをお聞きになったことがあるでしょうか。
一般社団法人日本児童青年精神医学会でも声明を出しているため、ご存じの方も多いかもしれませんが、それでも時々ご質問をいただくので改めて。
これは、反復経頭蓋磁気刺激(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation: rTMS)療法というもので、一般社団法人日本児童青年精神医学会の声明の中では以下のように書かれています。
何が問題視されているかというと、そもそも若い世代への使用は避けるものであり、発達障害の方々への有効性は確認されていないにも関わらず「有効」として実施がなされている場合があるということです。
詳しくは、声明文をお読みいただければと思いますが、その中でまとめとしては以下のように記載されています。
ちなみに、こうした指摘は国内だけのものではなく、国際的にも同様の指摘がなされています。例えば、よく引用されている文献の一つである、「Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation for Treatment of Autism Spectrum Disorder: A Systematic Review and Meta-Analysis. Barahona-Corrêa et al. (2018)」では(この調査では、ASD治療におけるrTMSの使用に関する複数の文献をもとにメタ解析という手法で、総合的な結論を導き出す統計的手法を用いています)、サンプルサイズの小ささ、方法論的な限界が多いため(プラセボ効果を十分にコントロールできていないなど)結果の解釈には慎重を要すること、そして現在のところ、ASDの治療にTMSを用いることを支持するには不十分であると結論づけています。
似て非なるものに「ニューロフィードバック」というものがあります。これについては、以前コラムでも書いたような気がするので、ここではあんまり詳しくは書きませんが、ASDやADHDへの適応については、現時点ではエビデンス不十分とされています。
では、次の質問です!
Q:コグトレについて知りたい
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?