生活は続く

ここ最近、仕事をしているときは毎日が忙しくて、何かを考える余裕なんてないんだけど、今日はなぜだか頭がふと物思いにふけたいモードなので、色々考えることにした。決してソープに行ったからではない。

ソープに行って、24000円を払い行為をする。その日行ったお店は秘書もので嬢もきっちりスーツを着ていた。そして、椅子に座って待っていると嬢はバスタブにお湯を入れて世間話をしてくる。あれ、世界観はお客が社長なのにフレンドリーだなと思った。そこからいろんな事を聞かれたくさん話した。仕事のこと、最近の出来事など。会話の主導権は自分だった。嬢は俺の話に相槌をして話を聞いてくれた。そして嬢と行為をした後、また話をした。今度恋愛の事が主だった。会話の主導権は嬢だった。今度は俺が相槌の番だ。彼女はいろんな恋愛をしていた。その話を聞いて、自分の恋愛について色々考えた。俺は高校生の頃彼女がいた。大学進学と同時にそれは遠距離恋愛に変わった。そこからお互いに冷めてしまい、別れた。それ以来5〜6年彼女がいない状態だ。別れた頃は次の恋愛をと思っていたが、俺はクソな人間で俺を受け入れてくれる人なんていなかった。それがどんどん当たり前になっていき恋愛や他人とのコミュニケーションがめんどくさくなっていった。しかし、就職したらこのままじゃダメだと思い、他人とのコミュニケーションを頑張った。けど、自分が変わったとは思えなかった。そして周りが彼女を作っていくにつれて、焦り始めてマッチングアプリを始めた。けど、自分が変わったとは思えなかった。

嬢はとてつもないほどの恋愛脳だった。俺はそれが羨ましく感じた。しかし自分が惨めだなという気持ちは自然と消えていた。心の中で何かが吹っ切れたのだ。これは自信とそういうことでは無く、シンプルに肩の力が抜けた気がした。張り詰めていたものがストンと緩くなったみたいに。こんなに簡単に恋愛ができるのかと思った。けどそれは美しく綺麗になった女性だから。けどそれは見た目から清潔感に溢れる男性だから。そんながんじがらめに締め付けられた考えがゆるりゆるりと解けていった。きっかけは店をでた後、歩きながらラップをしたのだ。とてつもなく簡単なフリースタイルを誰もいない暗い道でやった。そのラップが上手くできた。言葉はつまったがきちんとできたのだ。それが嬉しくて嬉しくて、家に着くまでいろんなトラックでフリースタイルをした。その全てが上手くできた。とても嬉しかった。

一人暮らしを始めてから今まで以上に日本語ラップにのめり込んだ。高校生の頃ラップバトルの動画を見て、怖いなと思った。それが初めての感想だった。そこからいろんなジャンルを聞くようになって、HIPHOPを聞いて衝撃が走った。ラップバトルであんなに怖そうに相手を罵っていたR指定さんが、俺と同じような事を思っていた。そのことに感動し、一途にHIPHOPを追うようになっていた。

何度も何度も音楽には助けられた。だから、EVISBEATSのゆれるfeat田我流は俺を共に救ってくれた。それは、1人で寂しい時だったり。それは、1人で落ち着きたい時だったり。それは、1人で帰る夕焼け道だったり。いろんなシーンで俺を助けてくれた。だから、俺はMVに出てくる田我流さんに憧れ、急須を買った。淹れるのは紅茶だ。俺がこれからどんな人生を歩んできても、この曲のリリックをかける気がしない。けど、この曲のおかげで心がゆれ、凪のように落ち着く。家のCDオーディオで紅茶を飲みながら聞くゆれるはとても好きだ。何気ないからこその幸せを描いてくれるからだ。

日常的にラップをするようになったのは大学3年くらいからだ。当時は好きなラッパーの真似をしていたが、徐々に自分の気持ちを表したくなってiPoneのメモアプリに短いリリックを書いていった。そこからいろんなトラックに自作にリリックを歌った。韻やフロウもないど下手くそなラップだった。けど、楽しかった。それからその快感を味わうためにリリックを書いてはトラックに言葉を乗せた。けど、就職先が決まり働くようになってからは、仕事に疲れて大学生の頃のようにリリックを書くことができなくなった。けど、ラップはやりたかったから家事をする時、トイレに行く時、風呂に入る時フリースタイルラップをした。日々のモヤモヤ、イライラ。仕事に対しての不安などいろんな事をラップした。けど、思うように上手くいかず気持ちが沈む。沈んだらまたラップをする。毎日、その繰り返しだった。

けど、その日は違った。上手くできたのだ。嬢と別れて何かが吹っ切れたのかわからないが、上手くいった。ああ、これがやめられないのか。そして、勝手に自信がついた。俺は、恋愛ができなくても、彼女がいなくてもラップはできる。それが見えない自信につながったのだ。そんな日がくるなんて思いもしなかった。これが不思議なパートに魅せられ、夢から夢を綱渡りするのか。そして、綱渡りの先にあるのは今と同じ日常なのだろう。そして生活は続いていくのだろう。

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