
泡のように消えたかったが、泡も破裂しないように必死かもしれない|鬱との対話
「死にたい」と口にし、希うも「死ぬことは怖い」のだから不思議なものだ。
きっとこの気持ちを表現する日本語は「消えたい」が正解なんだろう。私は死にたいのではなくて消えたいのだ。
この世から消え去りたい。
不安に押しつぶされそうになるこの世界で息をするのは難しい。
跡形もなく、泡にようにパンっと瞬時に消え去りたい。苦しみもなく感じる間もなく消えてしまいたい。
でも、泡だって消えたくないのかもしれないとふと思った。
本当は泡として漂い流れ彷徨い続けたいのかもしれない。消えないように必死になって現状を維持しているのかもしれない。そう思ったら少しおかしくて恋しくて、「今日は消えなくてもいいか」だなんて感情が水面にぷかぷかと浮かび上がってきた。
鬱々としたあの絶望はどこから生まれてどこへ消えていくのだろう?
未遂に終わった衝動の火種は今も燻り狼煙を上げている。煙もまた消えているようでその場に居続けいるのだろう。見えなくなっても香りが漂うように。
どうか泡沫のように消え去らないでくれ。
ゆっくりと息を吐き、朝日を迎え入れた。