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本の棚 #70 『モンスター部下』
『モンスター部下』
石川弘子
『それ、パワハラです』を読んだあとに
逆の立場について考えてみた。
ハラスメントを武器みたいに使って
半分脅しのような態度で歯向かってくる部下…
そりゃあいるだろうなと。
こうやって異なる立場から、異なる角度から
物事を客観的に考えられることが
これからの社会では今まで以上に重要だ。
みんながそうだからぼくもそう、ではなく
一人一人が考えたほうがきっといい。
みんなそうだから思考の人は、悲しいかな、
利用されやすいと思う。
話を戻すと、今回は上司の立場になって考える。
著書ではかなり多くの事例が取り上げられており
自身が体験したり、もしくは身近で起きている、
そんなことがたくさん書かれている。
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「オヤジ狩り」ならぬ、「ハラスメント狩り」を怖れる上司
ハラスメントに対する研修は
多くの企業が導入しているのではないか。
ただ、ハラスメントを恐れるがあまり
まっとうな指導すらもしづらくなっている、
そんな状態に陥っている人も少なくない。
その結果、チーム内の雰囲気が悪くなり
非生産的、非効率な時間が増えていき
だんだん成果を落としていく負のスパイラル。
オヤジ狩りはさすがに防ぎようがないが
ハラスメント狩りは正しい知識を身につけて
普段から自身の言動に気をつけておくことで
防ぐことができるはずだ。
だから「明日は我が身」と心得て
真面目に研修を受けること。
モンスター部下の2タイプ
①「自己中心的で幼稚なタイプ」
②「そもそものモラルが非常に低いタイプ」
自分の仕事が周囲に認められていないと
感じた社員は承認欲求が満たされず、不満を抱く。
それが「自分は正しい」という一方的で
自己中心的な考えに支配されると危険だ。
そのタイプは自分の問題は棚に上げて
周囲の人や環境、会社の不平不満を言いまくる。
組織としても扱いが難しい。
不平不満を解消していくことでよりよい環境に
していこうと、そちらにパワーを使うべきだが
文句を言いまくって終わり。
そもそものモラルが低い、つまり善悪ではなく
個人の損得で判断してしまうタイプもいる。
「辞めます」を乱発する「辞める辞める詐欺」
経費の不正請求、機密データ漏洩、
会社パソコンでデイトレード、社内不倫など
読んでいるだけでどっと疲れた。
「部下からのパワハラも存在する」
社会のながれとして年功序列が薄れていくなかで
年上部下、先輩部下とのやりとりは要注意。
入社当時にお世話になった先輩が数年後には
自分の部下になる、こんなことは事実としてある。
それまでの関係性もさることながら
人生の先輩としての尊敬の念を忘れずに
言わなければならないことは
はっきりと言わなければならない。
偉そうにするわけではなく
あくまで上司という役割を全うする。
へりくだったような態度で先輩部下に接すると
チームのバランスはたちまちくずれていく。
先輩部下の暴走はこれから増えていきそうだ。
恐怖政治はすぐ冷める
部下に対して「恐怖」を与えるような指導は
逆効果だと著者は述べている。
もちろん甘やかしていいというわけではないが
「厳しさ」を間違って解釈すると
愛情のない、ストレスをぶつけるような態度に
なってしまう(そう部下に捉えられる)
そうではなくてモンスター部下に遭遇したときの
上司としてとるべき態度は
部下が自分の問題に気づくきっかけを与える
人格を否定して、矯正してやろうという
支配的で短期的なアプローチをとるのでは逆効果。
過去と他人は変えられないのだ。
自分で気づき自分で変わる、そのきっかけを
与え続けることしかできない。
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