本の棚 #62 『人新世の「資本論」②』
『人新世の「資本論」②』
斎藤幸平
晩年のマルクスの到達点=脱成長コミュニズム
正直に言おう。
読めば読むほどよくわからない。
とりあえず若かりし頃のマルクスの思想ではなく
年をとったマルクスが行き着いたところが
「脱成長コミュニズム」らしいのだ。
資本主義のもと経済成長を追求していくと
人間と自然は掠奪される、これは①でも書いた。
コミュニティの自治と相互扶助、つまり
生活に必要なものを自分たちで確保し、
配分する民主的方法を生み出すことが課題だ。
キーワード①使用価値経済への転換
商品としての価値ではなく
使用価値を重視する社会に移行しないと。
高く売れるものを優先してつくることは
全体の豊かさにはつながらない。
大量生産、大量消費から脱却し
GDPの増大ではなく
人々の基本的ニーズを満たすことを重視する社会。
これが脱成長の基本的スタンスだ。
キーワード②労働時間短縮
不必要な生産に割かれている
多くの労働力を基本的ニーズを満たすために
配分していく。
マーケティング、広告、コンビニの深夜営業、
年中無休みたいなものは無くなる。
オートメーション化による労働から解放は
エネルギー資源を使いまくることになるからだめ。
労働の中身を充実した、魅力的なものに
というのがマルクスの主張。
キーワード③画一的な分業の廃止
徹底したマニュアル化はその一方で
一人ひとりの自律性を奪っていく。
無味乾燥な労働の出来上がりだ。
分業を廃止して
人々が多種多様な労働に従事できる生産現場の
設計が好ましい。
キーワード④生産過程の民主化
生産手段を「コモン」として
民主的に管理する社会。
どこかの大手企業が独占するのではなく
社会全体の「コモン」として共有する。
キーワード⑤エッセンシャルワークの重視
社会の再生産にとって必須の労働
使用価値が高いものを生み出す労働
それらをきちんと評価される社会。
保育士や介護などのケア労働は
重労働のわりに低賃金すぎる。
ブエン・ビビール
直訳すると「良く生きる」
エクアドルの先住民の言葉らしい。
我々は将来のことを考えるときに
先住民の教えから学ぼうとする謙虚さを
忘れてはならない。
賢者は歴史から学び、愚者は経験からしか学ばない
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