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ミスタードリラーが生まれるまでの話 第9回「失敗が自分のせいだと思えること」
吉沢さんのTwitter(現X)にもあったように、自分はRAGE RACERの続編、R4のプロジェクトメンバーでした。R4が佳境に入っていったこともあり、本業に専念しドリラーは潜伏期間に入りました。
ただ、思い込みだけは人一倍強かった私は、これが完成すれば今までに無い新しい面白さを持ったゲームになるという確信を持っていました。もちろんマーケット調査はしてないのでエビデンスとなるデータは私1人です。
R4が落ち着いた頃から、私はまた活動を再開しました。
六角形ブロックはやめて、四角形ブロックにすることと、ブロック連鎖の基本ルールを考えた段階で、紙の企画書は作らずに直接先輩のエンジニアさんにお願いに行きました。
さすがに六角形バージョンを作ってもらった先輩にまたお願いするのは申し訳なかったので、別の先輩に…
基本ルールを書いた紙を読んだ先輩は「面白そうだから作ってみる」と言ってくれたのです。
本当に感謝です。もしその先輩が作ってくれてなかったら、他にツテが無かった私は万事休すでしたから。
諸事情により本制作では別のエンジニアさんに変わってしまったのですが、スコアランキング1位のデフォルトネームは感謝の気持ちを込めて、その先輩のイニシャルになっています。
さて、四角ブロックに戻したしたことによる課題は当然ありました。
最初に書いた、プレイヤーがピンチにならない問題です。
ピンチになってもらうには、「プレイヤーよりも上にブロックが積まれている状態で、横に移動してブロックの下に潜り込むような動きをあえてしてもらう」必要がありました。
「あえてしてもらう」というのが重要でした。
マップ形状などで横移動を強制するのは簡単ですが、それはやらされているだけで、自分の意思で選んだことでは無い。
その結果ピンチになったりミスしたとしても、それは「自分のせい」だとは思えないからです。
ナムコで教わったことの中の一つに「失敗が自分のせいだと思えるゲームは良いゲーム、ゲームのせいだと思えるゲームは悪いゲーム」というのがありました。
自分のせいだと思えれば、学習して次はもっとうまくやろうと繰り返したくなるからです。それが理想の形でした。
どうしたらそうなれるのか?
先輩と話をしながらも、ひたすら脳内エミュレーターを回し続けたのでした。
つづく
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