yasuhirom

2020/8/14 開始。【詩人】

yasuhirom

2020/8/14 開始。【詩人】

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詩)乙女 yasuhirom

あなたの長き黒髪が 肩から垂れてあらわれし 白きうなじの やわ肌の 後れ毛 われを惑わせる 君を知りしはまだ二人 幼き心ふくらませ トンボ追いかけ夕間暮れ 明日あることを信じてた いつしか背丈伸びゆきて 恥じらいの中で遠のいた 二人の時間の喜びの 遠き記憶に霞みゆく あなたの長き黒髪が 今わたくしの前にあり 触れる痛みに耐えかねた 今もあなたは乙女なり

    • 歌)酸欠少女さユり のために

      • 詩) 群青の夏 yasuhirom

        君と行った夏の海 水着の君の 笑顔を今も 僕はまぶたに 思い描ける 歩いた砂浜 灼熱の太陽だけが 二人を見ていた 子供だった僕ら 水をかけあい ふざけあった 君を乗せて 帰る自転車 夕闇が二人を 包んだ・・・ あれから何年 たったのだろう また夏がきて きみもどこかで 僕を思って いるのだろうか 遠い遠い 夢のお話

        • 詩)遠い海 yasuhirom

          潮が引けば現れる道で 石をひっくり返しては 蟹や小魚を探す 二人しゃがんで はしゃいでいる 中学生だろうか そんなことしかできないことが 幸せなんだ 歳を重ねると可能性は増えていく だけどその分 見えなくなるものがある 夕日に背を向けて 笑い合う 二人 濡れた靴なんておかまいなしに 寄せては返す波の音が 二人を包む 大人になると消えてしまう喜びが 確かにそこにある その光景に憧憬しながら さまよい探し続けるのだ 淋しい 幻影 遠い昔の自分の姿・・・ 

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        詩)乙女 yasuhirom

          詩)風雨 yasuhirom

          雨粒がガリバニウムの屋根をたたき 真夜中 静かな部屋にグラスを傾ける 青き春は遙かに遠ざかり 何もかもがぼんやりとするばかりだ 雨足が強まると静寂はいっそう深く 秒針の音が響いてくる 風はざあっと雨を集めて何かをせきたて 家族の写真は幸福の形で止まったままだ  あの時 あの風景 そして新緑のにおい 若さを取り戻す薬はどこにもないのに 心だけはいつまでも少年のまま・・・ 雨音は強く 激しく 未来はとめどなく訪れ続ける そして今夜も静かな部屋で 有限の時に目を閉じて

          詩)風雨 yasuhirom

          詩) 夏の日 yasuhirom

          彼の時 君を伴ひて 伽藍の石段 腰下ろし つれづればかりなる話のみ 空と緑に 溶けにけり 両端 二人 膝抱え 鎮守の蝉の響きのうちに 想ひ重ねしことこそは 確かにありしかとなむ思ふ 然るに純情 聖男女  つつましき徳に囚はれて 高鳴る胸の音 感ずるほどに 虚しく時は 過ぎにけり 如何なる別れをしけるにや 思ひ出づるに 術もなけれど 痛みとともに蘇る 君の面影 今に写せり

          詩) 夏の日 yasuhirom

          詩)再生 yasuhirom

          群青に淡き綿菓子流れゆき 命の粒子が満ち満ちる スタートラインを引き直して ここからまた歩いていこう 傷ついた矜持を癒し 誰にも知られることのない 本当の淋しさに打ち克って 再び輝くときを待つのだ わたしは生きている 集団が生み出す悪は認められ 個人には正しさを究極に求める そんな時代であっても 人心に惑わされ 清廉の志に泥を塗られながら まなじりだけは 凛然と見開かれている 今はそれだけでいいじゃないか わたしもまたそういうものの一人だ 世界を取り戻し わたしの美

          詩)再生 yasuhirom

          詩)秋の日に yasuhirom

          風が吹き 花が揺れ 遠き海を船が行く 日曜の朝 彼女は 立っている 髪をなびかせて 船は白く輝き 様々な色をした旗が 音もなくはためいている 帽子を押さえ 目を細め 見つめている 遠くを 足もとには黄色い花が 揺れている 秋である 風が吹き 花が揺れ 遠き海を船が行く・・・  海に出た男の帰りを   待っているのである 今日も・・・

          詩)秋の日に yasuhirom

          詩)月下に yasuhirom

          夢を見ている 明日のこと  私は明日 彼に逢う 夢を見ている 明日のこと  表参道歩くんだ 夢を見ている 明日のこと  風が帽子を飛ばしても 夢を見ている 明日のこと  全然平気 幸せよ  女の子だから いいじゃない  スキップしたって いいじゃない ―――月明かり 病院のベッドの上     青白く透き通る頬を      涙が 伝う・・・ 夢見ることしかできない  誰にも知られぬ 少女―――  頬を伝う・・・

          詩)月下に yasuhirom

          詩)永訣の母 yasuhirom

          病室からラバトリーまで一緒に歩き ここでいいから と言ったあと 僕の手をとり名前を呼んだ  そうして優しく 手を振った 何とも思っていなかった 早く帰ってすることもあった ただ何となく  別れ方が気になっていたんだ  ―――家に帰ると   電話が鳴った――― 知っていたんだね  永遠の別れになることを でもそれを告げなかった  僕を悲しませないために   あなたはいつも    そうだった・・・ 息をしなくなったあなた 閉じられた瞳に最後に映ったのは  確かに 笑顔

          詩)永訣の母 yasuhirom

          詩)傷ついたつばさ yasuhirom

          一緒に飛んでみませんか どこか遠くの星空を 二人で行ってみませんか 今いる世界を飛び出して 行きたい場所ならどこへでも 僕が道先案内人 そこで静かに暮らそうよ 気分転換も必要です 一緒に話をしませんか これまで出会った人のこと 二人で食事をしませんか おいしいものをごちそうします 知らない場所なら僕たちは いつでも自由でいられます そこは悲しみのない世界 君には笑顔が似合います・・・ そうしてそうしていつの日か ここに戻って まいりましょう ―――     

          詩)傷ついたつばさ yasuhirom

          詩)今日の終わりに yasuhirom

          暮靄に包まれた秋の日暮れ 返し忘れたニーチェの言葉が 机の上から僕を見る 神なき世界のかよわき住人が 昨日もそして今日も 自分の理屈を並べ立てる 職場でカフェでブラウン管で つばきをまき散らしながら・・・ ああ、母の背中で聞いた子守歌は 「つひに忘られてしまったか」 懐かしい温もりと悲しみが 痛みのように蘇る  十五で ねえやは 嫁に行き   お里の便りも 絶え果てた 今日の終わりに ひとり静かに 思いを巡らすのであった

          詩)今日の終わりに yasuhirom

          詩)だいじょうぶ yasuhirom

          僕はただここにいるよ 何かを求めているわけじゃないんだ 君はただそこにいてよ 僕が安心できるから 求めるからつらくなるんだ つらくなるから嫌なんだ うつむいても笑顔でいられるよ 頭の中はすず風が吹いている 昨日落っことした愛のかけらは 星になって遠いお空に帰って行った 僕は静かに目を閉じるよ 何もかもが美しく見えるんだ 君もそこで思ってみてよ 遠いお空のその先を ひとりだから分かるんだ 誰かの心のぬくもりが 見上げればこぼれてしまう だから下を向いているだけさ

          詩)だいじょうぶ yasuhirom

          詩)逝く夏 yasuhirom

          ツクツクジロジがこだまして 夏の日暮れがむせかえる はすかいに飛ぶカラスが空を裂き 夏の日暮れがねぐらへ帰る 降り続いた雨は上がり 残暑にひっそりと 春に大輪をつけた牡丹が 干からびた葉にしずくをつけて立っている 過ぎゆく夏はとめどなく むなしき希望と消えゆくが 巡る季節の豊穣を信じ すべてはあるがままだ・・・ また会おう夏よ 命は受けつがれ  おまえは必ずやってくる そうして再び全き力を みなに与えるのだ

          詩)逝く夏 yasuhirom

          詩)水音(みずね) yasuhirom

          静かに身をたゆたえた 湖の中で 淡い光がエメラルドに揺れる もれ落ちるそれを 手のひらですくいながら そうして君を想うのだ 美しさはそこにあり 姿を現しては消えてゆく したたる水の輝きである それは君と二重写しとなり 僕の中に宿る 輪郭を持ちかけた幻影は やがて波紋に溶けてゆき したたる静寂がまた戻ってくる ひとつのコスモ 僕はそこにいる 君はどこにいる?

          詩)水音(みずね) yasuhirom

          詩)何処(いずこ)にやある yasuhirom

          愛すれば 見えなくなり 傷つけば 失ってしまう  与えれば 不自由になり 優しいほど すりむけてゆく  考えれば 遠ざかり もがけば 締め付けられる  ならば、いっそ バケツに顔をつっこんで がなり声をあげて 血を吐いてしまえ でたらめに走って 足を引きちぎり 偽善の声に 頭骨を爆発させよ  魂の叫びよ   ああ、魂の叫びよ !  沸き起こり 救え !   沸き起こり 救うのだ すべてを、すべてを、すべてを !  

          詩)何処(いずこ)にやある yasuhirom