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地理的表示(GI)はブランド力強化につながるのか?

地理的表示保護制度(GI)は、農林水産省が定めた地域特有の産品に対して品質や評判を保証し、ブランド力を高めることを目的とした制度です。ホームページによると全国の148産品が登録されています(令和6年8月27日現在)。この制度は日本だけでなく、EUや英国と連携し相互保護を行っています。

GIがどこまで強いブランド要素となり得るのかはまだよくわかりません。ただし、官民が一体となって取り組むブランディング施策としての意義は非常に大きいといえます。

福島県南会津町がGI認定を受けた事例は、この制度が地域ブランディングにどのように役立つかを考える良い例として注目されています。

GIが示す地域ブランディングの可能性

2023年8月、南会津町が「GI南会津」として地理的表示保護制度の認定を受けました。地元の米と水を使用し、製造から瓶詰めまでを町内で行うという厳しい基準のもと、4つの蔵元が協力して「南会津ブランド」を形成しています。雪による断熱効果で安定した温度が保たれる中で醸造される日本酒は、フルーティーな香りと柔らかな口当たりを特徴とします。

さらに、郷土料理「しんごろう」とのペアリングイベントや観光ツアーを組み合わせることで、地域の魅力を総合的に発信しています。

こうした取り組みは、単に産品を売るだけでなく、地域の物語を伝えることでブランド価値を高める役割を果たしています。

GIがもたらす課題と期待

GIの登録が世界的に認知を獲得しブランド価値を高めることにつながげるにはまだまだこれからの課題だとは思います。しかし、南会津の蔵元がフランスでの見本市に出展した際、GI認定が商談の突破口となったことは、この制度の可能性を示していると思います。

特に、東日本大震災や福島第一原発事故の影響で風評被害を受けた過去がある東北地方において、GI認定を受けて海外で認められることは自信を取り戻すことにつながるでしょう。

まとめ

GIは地域特有の品質やストーリーを世界に伝える有力なツールとなりえます。そのためには、まず、私たち日本人がGIに登録された産品のことを知り、その価値を認めることが大切です。農林水産省には、GI制度と登録産品の認知向上の取り組みを継続し、ブランド価値の向上に寄与してもらいたいと思います。

#日経COMEMO #NIKKEI

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