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中小企業の人材確保策につながる「筋トレ」
先日、マレーシアのマハティール元首相のインタビュー記事でも長く働き続けることの理想を強く感じました。「早期退職して悠々自適に」なんていうのは古い価値観となったといえるのかもしれません。
日本は急速な少子高齢化に直面しており、特に中小企業では人材不足が深刻な課題です。その中で、大企業を定年退職した人を人材として再雇用する「シニア活用」を行っている企業も多いです。それと同時に重要なキーワードとなるのが「健康経営」です。シニア人材の経験を活かしつつ、その人たちにいつまでも若々しく活力を持って働いてもらう必要があります。健康寿命を延ばすための取り組みを行うことで、労働力を維持し、さらには企業競争力を高める道筋へとつながります。日経新聞の2つの記事を参考に、シニア活用の成功事例と筋トレの導入による効果について考察します。
シニア活用の可能性:経験を価値に変える
シニア社員の活用は、中小企業の人材確保において大きな鍵となります。たとえば、建設業のトーケン(金沢市)では、シニア社員が技術指導や若手社員の教育に貢献しています。ズーム機能付きカメラを使った現場監督のように、シニアが無理なく働ける環境を整えることで、企業の技術力向上と若手の成長を促進しています。
また、化学品製造業のチカモチ純薬(大阪市)では、資格取得や健康促進をポイント制で支援する仕組みを導入。シニア社員の意欲を引き出し、結果として業績向上にもつながっています。このように、シニア社員が働き続けられる環境を整えることは、企業にとって大きな成長の原動力となり得ます。
筋トレの効果:長く働くための「健康貯筋」
健康で働き続けるためには、身体的な基盤が重要です。筋トレは、体力維持だけでなく、生理活性物質の分泌を促し、老化防止や健康寿命の延伸に貢献します。例えば、運送業の名正運輸(愛知県)は、「筋トレ人材」を対象にジム会費やサプリメント代を補助する制度を導入。健康な従業員の確保に成功しています。
筋トレは単なる健康維持にとどまらず、仕事への集中力向上や疲労回復の促進といった効果もあります。企業が筋トレを支援することで、働くシニア層のモチベーションや生産性を高めることが可能です。
健康経営と地域活性化の連携
シニア活用と健康経営を結びつけることで、企業は地域社会の活性化にも寄与できます。たとえば、健康経営を支援するジムを地域コミュニティと共有することで、地域住民と企業従業員が交流し、地域全体の健康意識が高まります。これにより、企業が地域における社会的信用を獲得するだけでなく、地域経済の活性化にもつながります。
まずは経営者自身が筋トレしよう
筋トレによる健康経営を進める上で、経営者自身が模範を示すことは極めて重要です。例えば、ランサーズの秋好陽介社長は、業績が伸び悩む停滞期に筋トレを始め、健康的な生活を実践。体脂肪率を20%から一桁台にまで減らし、腹筋を割るほどの成果を上げました。
筋トレを通じて「今」に集中する能力やポジティブ思考を養い、経営判断のスピードと質を向上させた経験から、秋好社長は「経営者は社員のロールモデルであるべき」と語ります。夜の飲み歩きよりも節制を心がける姿勢は、社員に良い影響を与え、企業文化の向上にも寄与しています。
まとめ
シニア層の経験を活かし、筋トレを通じて健康を維持する取り組みは、中小企業が抱える人材不足の課題を解決する有効な手段です。また、経営者自身が筋トレに励み、ロールモデルとして社員に示すことは、企業全体の意識改革を促進する強力なメッセージとなります。
シニア活用と筋トレの導入は、企業と従業員、そして地域社会全体にとって「三方良し」の取り組みとなるでしょう。このような取り組みが全国に広がれば、日本の持続可能な未来を切り開くことができるのではないでしょうか。さぁ、まずはスクワットからはじめましょう!
参考記事