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高くても良い食用油へのニーズの高まり

生活のために少しでも安いものを選ぶという選択肢がある一方で、質の高い商品であれば多少高くても購入したいとするニーズも根強く、この「二極化」が食用油の市場にも見られます。

現在、原料や物流費の高騰や減産により、多くの食用油が値上がりしています。中でもオリーブオイルは最大で8割の価格上昇が起きています。一方で、健康に配慮した高機能・高価格の商品が売れ筋となり、通常の食用油との差額が縮まったことで、消費者が手に取りやすい商品になりつつあります。

オリーブオイルやごま油、アマニ油などは、それぞれの健康効果が認知され、食用油としての価値が高まっています。日清オイリオの「ボスコ エキストラバージンオリーブオイル」や「キャノーラ油 ナチュメイド」といった商品は、健康志向の消費者から支持を集め、サラダやドレッシングなど幅広い用途で活用されています。また、J-オイルミルズが販売する「AJINOMOTO ダブルハーフ」は油ハネを抑える特性を持ち、料理の手間を減らす機能性も消費者に評価されており、価格が上がってもその付加価値に対して消費者が選択する傾向が見られます。

さらに、こうした商品の宣伝にはSNSマーケティングも活用されているものの、最も効果的な方法はやはり店頭での販促活動とされています。消費者に直接訴求できる場として、店頭でのプロモーションは欠かせません。

このような「安いもの」と「良いモノ」への二極化したニーズは、今後も他の汎用品でも広がることが予想されます。中途半端な立ち位置の製品が選ばれにくくなるため、価格で勝負する場合は徹底的な合理化と競争力の強化が求められます。一方で、高機能で勝負する場合には、その価値をどのように効果的に消費者に伝えるかがポイントとなります。以前は小さな市場と見なされていた高付加価値の商品ですが、ニーズの多様化に伴い、もはや「ニッチ」とは言えない存在になりつつあるようです。

#日経COMEMO #NIKKEI

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