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アパレルブランドが家族代々引き継がれる家宝になるためのパーパスブランディング

想像してみてください。

あなたが作った商品が大事に使われ、子供や孫にまで受け継がれる世界を。

高級腕時計のようなラグジュアリーブランドなら考えられますが、それをアパレルで達成しようとしているブランドがあります。

パタゴニアです。

日経MJに「パタゴニア『アンファッショナブル』宣言 脱流行、型破りのマーケの真意」(2024年6月11日付)が掲載されました。以前にもパタゴニア創業者のイヴォン・シュイナードさんのストーリーについて書きましたが、今回の記事を読みながら「パーパスブランディング」の重要性について改めて考えました。パーパス(Purpose)とは、企業やブランドが存在する目的や使命、すなわち「存在意義」のことです。パーパスブランディングは、そのブランドが社会でどのような貢献をし、人々を幸福にするかを明確にし、ブランドの中核に据えることで、消費者との深い結びつきを築く手法です。

パタゴニアの「アンファッショナブル」宣言と消費行動の変革

パタゴニアは、常に型破りなマーケティング戦略で注目を集めてきました。「Don't Buy This Jacket」や「Better Than New」などのキャンペーンを展開し、流行を追わずに高品質かつ丈夫な製品を提供する姿勢を貫いています。2024年、パタゴニアは新たに「アンファッショナブル」(ファッションは私たちには関係ない)というキャンペーンを国内外で開始しました。このキャンペーンは、流行に左右されず、環境に優しい持続可能な製品を推進するパタゴニアの哲学を強調しています。

「アンファッショナブル」キャンペーンは、消費者の行動を変えるためのムーブメントを起こすことを目指しています。安価で流行の服に対する欲望を抑え、長持ちする高品質な製品を選ぶことの重要性を訴えています。これは、単なるファッションの問題ではなく、持続可能な未来を築くための一歩でもあります。ファストファッションの有害性を指摘し、流行に追随しない高品質な製品の重要性を訴えることで、消費者はパタゴニアの商品を選ぶことで環境保護に貢献しているという満足感を得ることができます。

ストーリーテリングの力

さらに驚いたことは、パタゴニアがカタログから製品の情報を排除し、ストーリーを前面に押し出したことです。パタゴニアの成功の鍵の一つは、強力なストーリーテリングにあります。モノを売るのが目的ではなく、社会変革を起こす手段という姿勢を明確にしました。これにより、消費者はパタゴニアの商品を選ぶことで、環境保護に貢献しているという満足感を得ることができます。

再生可能エネルギーとサプライチェーン

パタゴニアは、環境への負荷を最小限に抑えるための取り組みを積極的に行っています。サプライチェーン全体で再生可能エネルギーを使用し、温室効果ガスの排出を削減する努力を続けています。また、染料が川に流れ込まないようにするなど、工場周辺の環境改善にも取り組んでいます。これらの取り組みは、パタゴニアの「再生可能」なビジネスモデルの一環であり、環境保護と企業の使命を結びつける具体例です。パタゴニアは、自社が先駆者となり、他のアパレルブランドや製造業が追随してくれることを願っています。

まとめ

パタゴニアの「アンファッショナブル」宣言は、パーパスブランディングの成功例として非常に示唆に富んでいます。企業が明確な使命を持ち、その理念に基づいたストーリーを発信することで、消費者との深い結びつきを築くことができます。また、再生可能エネルギーの活用やサプライチェーン全体での環境保護への取り組みは、持続可能なビジネスモデルの実現に向けた具体的なステップです。

パタゴニアのように、環境保護と社会的責任を重視する企業の成功は、他の企業や消費者にも多くのヒントを与えてくれるでしょう。これからはさらにパーパスを基準に選ばれるようになってくるでしょう。

家宝にしてもらえるほどのモノづくり、パーパスとは何かを考える良い機会となりました。

参考記事:


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