プロ野球現役ドラフトと適材適所:組織におけるポテンシャルの引き出し方
もうすぐ今年で3回目となるプロ野球の現役ドラフトが開催されます。過去2年を振り返ると、この制度はかなり成功しているといえるのではないでしょうか。
そもそも現役ドラフトとは、ポテンシャルは高いと認められているものの、思うような結果が残せず出場機会に恵まれない選手の移籍活性化を狙いとして導入されました。各球団が自チームの選手1名を候補としてリストアップし、他球団のリストに上がった選手を獲得する仕組みです。
過去2年の事例を見ても、すべてが大成功というわけではありませんが、大竹耕太郎選手(ダイエー→阪神)、細川成也選手(横浜→中日)、水谷瞬選手(ダイエー→北海道)など、移籍先のチームで中心選手となり目覚ましい成績を残した例があります。
これまでも移籍によって活躍の場を得た野球選手は多くいますが、それでも結果を残せず引退していたかもしれない選手が、環境の変化によって大きく活躍する姿には驚かされます。「ここでうまくいかなければ終わり」という本人の決死の努力もあるでしょう。しかしそれ以上に、人が自分のポテンシャルを発揮するには、組織の環境がいかに重要であるかを物語っているように思います。
企業などの組織社会でも同じことがいえます。スポーツほど実力が明確に測れない社会では、環境の影響がより大きいといえるでしょう。企業は、社員それぞれの可能性を最大限に引き出すため、組織環境の改善に常に努める必要があります。また、社員自身も自分のポテンシャルを最大限発揮できる環境とは何か、自問することが重要です。
ただし、適材適所は本人だけでなく、周囲の視点や仕組みが必要です。たとえ現状で成果が出ていなくても、今いる組織に愛着が生まれて異動を望まないこともあります。その際、客観的な視点で背中を押してくれる仕組みが必要です。
まとめ
現役ドラフトが成功例を生み出しているように、適材適所の重要性はスポーツ界のみならず、企業や組織運営にも当てはまります。環境を整えること、自ら行動を起こすこと、そして背中を押す仕組みを作ること。そのすべてが、個人と組織の成長を支える鍵になるのではないでしょうか。