ランチタイムの定食屋さんで感じた接客業の難しさ
先日、ある地下街のレストランでランチを食べた時の話です。その店は、野菜がたっぷり入った豚汁が美味しく、月に1回くらい通っています。地下街のお店なのでカウンターがメインで、お昼時はいつも混み合っていますが、その日は12時少し前だったこともあり、客席は半分も埋まっていませんでした。
いつものようにランチを食べ終わり、箸をお盆に置こうとした瞬間(実際にはまだ箸をお盆に置いていませんでしたが)、後ろから店員さんに声をかけられました。
「お済みのお盆をお下げしてもよろしいでしょうか?」
びっくりして、思わず「はい。」と答えましたが、正直、これは少し失礼ではないかと感じました。「ずいぶんと素早くお盆を下げますね。」と嫌味を込めて言ったつもりが、その店員さんはどうも褒められたと感じたらしく、嬉しそうに微笑んでいました。私は「そうじゃないよ」と言いそうになりましたが、ぐっと言葉を飲み込みました。そもそも混み合うお店だとわかっていたので、長居するつもりもなく、すぐに会計を済ませてお店を出ました。
私自身も学生時代にレストランでアルバイトをしていた経験があり、お皿を下げるタイミング(バッシング)はお店の効率を良くするために重要で、お客さんの気分を害さないタイミングを見極めるように、と店長に指導されたことを思い出しました。
この店員の方(おそらく学生アルバイト)は、一生懸命仕事を頑張っていたのだと思います。お店の効率を良くするために、食べ終わったと見るや速やかにお盆を下げようとしていたのでしょう。
しかし、これは少し行き過ぎた対応だと感じました。いつか本当にキレられてカスタマーハラスメント(カスハラ)の被害にだって会うかもしれませんし、この店員さんのことが心配になります。そういう最悪のケースを避けるためにも、店長や他の従業員の方がちゃんと教えてあげてほしいよな、って思いました。
接客という仕事は、スピードと丁寧さのバランスが求められる難しい仕事だと改めて感じました。店員さんが一生懸命働いている姿勢は素晴らしいですが、やはりお客さんの気持ちを考える配慮が欠かせません。
接客業は、ちょっとした気遣い一つで大きく印象が変わるもの。お店側も、しっかりと教育や指導を行い、店員さん自身が『お客さんの立場に立った』接客を心がけることで、双方にとってより良い時間が過ごせるようになるのではないでしょうか。そして、そんな気遣いの積み重ねこそが、また行きたくなるお店作りの一歩なのかもしれません。