「パーパス+利益のマネジメント」を読んで
ハーバード・ビジネススクールのジョージ・セラフィム教授の本を「パーパス+利益のマネジメント」を読みました。
パーパス(企業の存在意義)の追求が利益を生み出すことにつながることを主張しています。
そして、パーパスと利益の両立を目指す上で指標となるものが、ESG(環境、社会、ガバナンス)です。
ESGは、財務的指標だけで企業を評価するのではなく、非財務指標である環境、社会、ガバナンスへの取り組みを評価指標とし、経営・投資を行うことです。
ESGは、業種、業界によって評価ポイントが異なります。例えば、金融業界と農産物業界とでは全く異なるのは想像しやすいですよね。でも、実際に、CO2の削減への取り組みを銀行のビルで排出量の削減をしきりにアピールしているようなことが起こっています。
そういった間違った使われ方をして、ESGという指標が見せかけのアピール(グリーンウォッシュ)のように捉えられていた時期もありましたが、現在は財務面の成果にもつながる道筋となるとしています。
そのためには、以下の3段階の道筋があります。
第1段階:コンプライアンスとしてのESG
まず、簡単な行為や情報開示からスタートします。
第2段階:効率的なESG
CO2排出削減などの簡単な果実を見つけること
第3段階:イノベーションとしてのESG
企業の行動を根本的に変えるような取り組みになることによって初めて素晴らしい企業と言えるようになります。
ESGに向けた取り組みを系統立てて行うには6つのパターンがあります。
実行リスクの大きいほど、価値創造の潜在力が大きくなります。リスクと潜在力の大きい順に6つのパターンを並べると以下のようになります。
① 新モデルと新市場
環境問題、社会問題の解決に関わる新製品・新機軸
②ビジネスの変革
従来型ビジネスを別の商品・サービスへと変革する
③専業によるニューアライメント
環境や社会への配慮から生まれたビジネスモデルに基づき、新たな事業を立ち上げ専業となる
④製品代替
従来製品を環境、社会問題の解決に活用する
⑤業務運営の効率性
ESGを重視することによって環境負荷の減少、社員の生産性向上などを図る
⑥価値認知
ESG問題の解決に貢献しているが企業価値向上にはつながっていない企業が、外部への認知を広げることを評価の拡大に努める
まとめ
本書では、いかに自社のパーパスが社会に貢献できているのかを追求することで実際に企業価値の向上(Profit)につながっていることを謳っています。
わかりやすいところでは人材の確保という側面においては、社会への貢献が実感できない企業にはいくら給料が良くてもいい人は集まらなくなっています。
投資先としても、ESG投資という言葉があるように長期的な投資先として、環境・社会問題の解決に貢献できる企業にはお金が集まりやすいと言えます。
一方で、実際に短期的な損益計算書上の黒字につながるのか、というと簡単ではないというのが実情でしょう。
上の6つのパターンでいきなり①〜③への向かうことはリスクも高いと言えます。大きな成功は期待できなくても、④〜⑥の取り組みは日常業務の中で意識することで価値増加につながる方法が見つかるかもしれません。
本書を読んで、パーパスの追求の意義について考える機会となりました。
最後までお読みいただきありがとうございます。