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老舗高級ホテルのブランディングから学ぶべきこととは

軽井沢という地名は、関西に住んでいた私にとっては遠い場所でしたが、夏の避暑地であり、皇室の方々が訪れる別荘地としての印象が強くありました。軽井沢は、そういった「高級避暑地」の代名詞として日本人にとって特別な場所であり、その中でも「万平ホテル」は特に有名で、歴史と格式を持つ老舗ホテルとして知られています。

日経新聞(2024年10月7日付)の「経営の視点」では、この万平ホテルが大規模な改修を終えて再開したことが書かれていました。この記事を読んで特に感心したのは、改修によって「変わっていない」と思わせることに重点を置いたということです。古き良きものを守り、歴史と伝統を重視することによって、長年の常連客が戻ってきたときに安心感を持ってもらえるように配慮したとのことです。木々の一本に至るまで、その気配りが行き届いており、建物の外観や内装も徹底してクラシックな味わいを維持している点は印象的でした。

さらに記事では、国内の若い顧客との長期的な関係構築に重点を置いていることが紹介されています。観光業全体でインバウンド需要が注目されがちな中、万平ホテルは日本人顧客との「今後100年の付き合い」を大切にしようとする姿勢を見せています。これは、単に観光客を集めるだけでなく、地域の価値や伝統を守りながら、長期的に愛され続けるホテルでありたいという思いが反映されています。

これは、決してインバウンドを軽視しているということではないと思います。その土地に住む日本人がその価値を認めているからこそ、観光客もそのブランドを認めることにつながります。ひと昔前のあからさまな外国人観光客向けサービス(サムライ、芸者、忍者みたいな)に目が向けられなくなり「ホンモノ」の日本を体験したいというニーズが旅行者の間でも高まっています。

その土地の歴史や文化をブランド価値とするためにも、その価値の意味を知る国内顧客を軽視しないという姿勢はインバウンド需要が増えている他の業種においても重要な考えだと思います。

#日経COMEMO #NIKKEI

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