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アルバムレビュー

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漫然とアルバムを聴いていると印象を忘れてしまうので、アルバムを聴きながら1曲づつ感想を書き留めてみることにしました。特にジャンルレス。その日選んだアルバムを聴いてレビューしていき…
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2022年2月の記事一覧

なんとなく「東京の空気感」にも近い:Black Country, New Road / Ants From Up There(2022、UK)

なんとなく「東京の空気感」にも近い:Black Country, New Road / Ants From Up There(2022、UK)

UKインディーズロック、サウスロンドンシーンと呼ばれるバンド群の中から現れたブラックカントリーニューロード。昨年のデビューに引き続いてセカンドアルバムをリリース。本作はより焦点が定まった内容になっていて、UKロックの伝統、それこそビートルズ、いや、キンクス的な「さまざまな音のレイヤーを重ねていく」手法がとられているが、なぜかJ-POP、日本のインディーズ的な音作りにも感じる。古くはboatであった

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Oki / Tonkori In The Moonlight 月明りのトンコリ(2022、日本)

Oki / Tonkori In The Moonlight 月明りのトンコリ(2022、日本)

”辺境”と”中央”の止揚度 ★★★★★

トンコリとはアイヌに伝わる伝統的な弦楽器で、通常は五弦であることから「五弦琴」と訳される(三弦や六弦の物もあるが、非常に稀)。江戸時代には北海道の宗谷地方やオホーツク沿岸地域、天塩(美深)などでもほぼ同じ楽器が存在し「カー」と呼ばれ演奏されていた文献記録があるが、近代までに伝承は途絶えた。現在判明している製作法や演奏法は、すべて樺太アイヌのものである。

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N.W.O.B.H.M.の40年:Saxon / Carpe Diem(2022、UK)

N.W.O.B.H.M.の40年:Saxon / Carpe Diem(2022、UK)

NWOBHM度 ★★★★★

Saxon(サクソン)、1977年結成、1979年デビューでN.W.O.B.H.M.を代表する存在として80年代から活躍しているバンドです。N.W.O.B.H.M.からはIron Maiden、Def Leppardが破格の成功を収めましたが、それに次ぐ位置といえばSaxon。3バンドの中だとSaxonが一番デビューも速く(他の2バンドは1980年)、最初の狼煙を上げ

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Persefone / Metanoia(2022、アンドラ公国)

Persefone / Metanoia(2022、アンドラ公国)

プログレッシブメタルおススメ度 ★★★★☆

かなり神聖かつ荘厳なオープニングでスタートするアルバム。そこからデジタルビートが鳴り響き、だんだん加速していく。映画的なオープニングからゴリゴリのテクニカルプログメタルへ。今作はドラマティックさを増しているようだ。

Persefone(ペルセフォネ)はアンドラ公国のバンド。アンドラ公国というのはヨーロッパの小国でフランスとスペインの国境にある。中世の

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Vektor / Terminal Redux(2016、US)

Vektor / Terminal Redux(2016、US)

スラッシュ名盤度 ★★★★★

これは凄い! Voivodにも通じる奇妙な和音(ジャズ由来っぽい感じ)を超高速で奏でるスラッシーな曲が続き、どんどんテンションが上がっていく前半~中盤。引っ掛かりがあるテクニカルなスラッシュながらプログレ的な変拍子感よりは直情的な疾走感、ヘドバンに最適なテンション高い音像が続く。かと思えば9曲目では突如スウェーデンのGhostにも通じる、北欧的な美メロが出てきて雰囲

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Pharaoh / The Longest Night(2006、US)

Pharaoh / The Longest Night(2006、US)

掘り出し物度 ★★★★☆

ウクライナのメタルラジオ「Radio Metal」を聴いていたら偶然出会ったバンド。メイデンの後に流れて「初期(初期2枚〜ディッキンソン加入直後)メイデン」っぽいバンドだなぁと思って耳が惹かれたのでアルバムを聴いてみました。Pharaoh(ファラオ)は1997年に結成されたUSのパワーメタルバンドで2006年作の本作は2作目。Metallum(評価:86/100)でもR

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