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アルバムレビュー

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漫然とアルバムを聴いていると印象を忘れてしまうので、アルバムを聴きながら1曲づつ感想を書き留めてみることにしました。特にジャンルレス。その日選んだアルバムを聴いてレビューしていき…
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2021年3月の記事一覧

Zamla Mammaz Manna ‎/ Familjesprickor

Zamla Mammaz Manna ‎/ Familjesprickor

1980年作。サムラ・ママス・マンナ(Samla Mammas Manna)のアルバム。大雑把に言えば70年代に活躍したスウェーデンのプログレッシブ・ロックバンドで、フランク・ザッパやカンタベリーロックとの共通点を指摘されるバンドです。日本人ドラマーの吉田達也氏が参加したことで一部界隈では有名。演奏技術に裏打ちされた唐突感のある展開の曲に、北欧らしい叙情的なメロディが組み合わさった不思議な音像。い

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Thunder / All The Right Noises

Thunder / All The Right Noises

英国の誇る伝統派HRバンド、Thunderの2021年作。Thunderは1989年に結成されたイギリスのバンドで、前身のTERRAPLANEというバンドのメンバーだったボーカルのダニー・ボウズとギターのルーク・モーリーによって結成され、1990年にデビュー。以降30年以上のキャリアを誇り、本作は13枚目のスタジオ・アルバム。デビューした90年代はUKヒットチャートに何曲もランクインさせるなど商業

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Turbulence / Frontal

Turbulence / Frontal

先日の特集記事でも取り上げたレバノンのTubulence。待望のフルアルバムです。2021年作。

期待以上の出来でした。王道の音楽様式としてのプログレッシブロック。

- Part 1 -
Occipital
1 Inside The Gage 11:13
歯切れのよいリズムでリフがスタート、少し流れるようなメロディというか、中東・アラブ的なフレージング。ミラスにも近いものを感じる。リフから

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Steven Wilson / THE FUTURE BITES

Steven Wilson / THE FUTURE BITES

現代プログ・シーンを牽引するパイオニアの一人、スティーブン・ウィルソンの2021年作。スティーブン・ウィルソンはプロデューサーやミキサーとしても活躍しており、OpethのBlackWater Parkのプロデュースや、あとは往年の名盤のリミックス盤でも名を知られています。特にサラウンドリミックスはお手の物。XTC、ジェントル・ジャイアント、YES、ジェスロ・タル等々、、、数えればキリがないほどの作

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Altın Gün ‎/ Yol

Altın Gün ‎/ Yol

以前、クルアンビンを中心としたサイケデリックロックの回でも取り上げたAltın Gün。2021年リリースの3rdアルバムです。

いいバンドなんですよ。新世代の息吹を感じる。オランダを中心に活動していることもあり、音楽的に洗練されている。トルコ国内のローカルシーンだけでなく最初からグローバルのシーンを見据えて発信している感じが好感触です。かといって独特のアク、アナドルロックの固有性もしっかりある

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Anneke van Giersbergen / The Darkest Skies Are The Brightest

Anneke van Giersbergen / The Darkest Skies Are The Brightest

Anneke van Giersbergen(アネク・ヴァン・ギアスベルゲン)は1973年生まれのオランダのシンガーソングライターです。1994年にオランダのゴシックメタルバンド「TheGathering」のリードシンガーソングライターとして世界的に知られるようになりました。Arjen Anthony Lucassen(エイルオン)のパートナーとしても知られており、彼のアルバム(長尺のコンセプトア

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Thaikkudam Bridge / Navarasam (An Ennead)

Thaikkudam Bridge / Navarasam (An Ennead)

インド、ケララ州(南の端)で2013年に結成されたバンドの2015年デビュー作。本アルバムではインド伝統音楽とメタルを融合した音像を奏でており、かなり本格的。こういう「伝統音楽+メタル」の異形のメタル、越境メタルは大好物です。このバンド、どうもきちんと伝統音楽をやっているメンバーで構成されているのかな(インドの場合、カーストがあるので「きちんと伝統音楽をやっている=音楽カーストで代々ある楽器の奏者

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In Other Climes ‎/ Leftøver

In Other Climes ‎/ Leftøver

なかなか強烈なジャケット。In Other Climesは2004年に結成されたフランスのメタルコアバンドで、こちらは2015年リリースの4th。いわゆるミクスチャーサウンドでかっこいい。フランスのこういうバンドは独特な音像を持っていますね。ちょっと優雅というか、センスが軽やか。かといってエスプリというか独特の哀愁も感じます。まぁ、フランスというお国柄から受ける先入観もあるのでしょうが。Rise

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Accept ‎/ Too Mean To Die

Accept ‎/ Too Mean To Die

ジャーマン・パワーメタルの雄、Acceptの2021年作。本来は2020年4月に来日していたはずだったのですが、2021年1月に延期になり、さらに再延期...。本来はそこで3rd「Balls To Wall」と4th「Metal Heart」再現ツアーの予定だったのですが、次の来日だと新譜中心のライブになるのでしょうか。

さて、今作は長年ベースとしてバンドを支えてきたピーター・バルテスが脱退して

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Metallica & San Francisco Symphony / S&M2(2020)

Metallica & San Francisco Symphony / S&M2(2020)

全歴史を総括しなおし、ロック(ボーカルとギターが主体の音楽)の現在の最新系たるメタルミュージックを拡張してきたメタリカが現時点での最新アルバム。映像含めたレビューは以前書きましたが、改めて音だけで聴き直してみます。

Metallicaの歴史の中で言えば、なぜいま1999に一度行ったオーケストラとの共演を再演する必要があったのか。それは、「バンドサウンドが完成した」と思ったからでしょうか。90年代

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Metallica ‎/ Helping Hands... Live & Acoustic At The Masonic(2019)

Metallica ‎/ Helping Hands... Live & Acoustic At The Masonic(2019)

チャリティのために行われたアコースティックコンサートの模様を収めたライブアルバム。アコースティックライブは結構昔から行われていたようですが(それこそブラックアルバムリリース後から)、一般向けの音源としてリリースされるのはこれが初めて。だいぶレイドバックして、歓声の大きさからそれなりの規模の会場だと思いますが、アットホームな雰囲気を感じます。こういう音像もそれなりにサマになってきたのは「ロックバンド

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Metallica / Hardwired...To Self-Destruct(2016)

Metallica / Hardwired...To Self-Destruct(2016)

2016年リリース、10作目のオリジナルアルバム。トゥルージロ加入後2枚目のアルバムにして、Lulu後、初のアルバム。前作、「Death Magnetic」が「1st~4thの集大成」だったとしたら、こちらは「ブラックアルバム~St.Angerまでのボブ・ロック期の集大成」とも言えるアルバムです。Luluを経たことによって、ようやく拡張と冒険のボブ・ロック期を総括できるだけのバンドの容量が手に入っ

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Metallica / Through The Never(2013)

Metallica / Through The Never(2013)

2013年、ライブを主体とした映画「Through The Never」のサントラという立ち位置でリリースされたライブ盤。Metallicaは今までベスト盤を公式には出しておらず、これはライブ盤ながらベスト盤としての役割も果たしています。Live音源自体はいろいろと発表していますがアルバムとして広く一般流通で販売するのはLive Shit: Binge & Purge(1993)以来、20年ぶり。

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Metallica ‎/ Beyond Magnetic(2012)

Metallica ‎/ Beyond Magnetic(2012)

Death Magneticのアウトトラック集。FC限定かな、2011年に先行発売されたようですが、一般発売は2012年、ルー・リードとのコラボ作「Lulu」の後に発売された作品です。「Lulu」は前回取り上げた通り「Metallicaが次に進むための重要な一歩」だったと思いますが、「Metallicaらしさ」が希薄だったのも事実。ある意味、今までの作品で一番急激に変化したというか、音楽性を拡張し

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