ホフステードの6次元モデル
先般、「ホフステードの6次元モデル」国民文化編のワークショップに参加した。
事前課題の「カルチャーコンパス」というオンラインサーベイで、自分自身についてのレポートをもらった。スコアが近い国はスウェーデンとのこと。
他の参加者もアフリカや欧州、カナダなど「国際色豊かな」顔ぶれだった!
メキシコから見たアメリカの文化と、日本から見たアメリカの文化では、見え方が全く異なることから、文化は相対的なものだということに「なるほど!」と納得する。
ホフステードの6次元モデルの背景や、1つ1つの切り口についての説明を受けたあと、事例のワークを通じて、文化的な違いが行動や判断にどのように影響を及ぼしているかを検討した。
自分の中で起きたこと
このワークショップを受講中に、自分の中で起きたことをいくつか挙げておきたい。
・「6次元モデル」という不慣れな未知のフレームで捉えようとするため、直ぐには捉えきれない
・事例の事象と照合しそうな「次元」を仮置きし、理由付けとなる詳細を探していくというプロセスを辿っているようだ
・このプロセスが「ありのままに見る」ことを妨げているように感じる/違和感が芽生えた。「保留」が入り込みにくい感じかな
・その先は、仲間内でしか通用しない言葉(jargon)や認識の基準(新たな枠組み)になってしまい、相互理解よりも分断を生じるリスクを孕むことへの不安
これを越えていくために、必要だと思ったこと
初めて出会う概念への戸惑いや、消化不良感を覚えつつも、それらを越えていくためは、事例の数をこなすと同時に、「6次元モデル」を知的にも探求して、深い理解と共感が必要なのかもしれないと思った。
・MAS(男性性/女性性)のような「ラベル」のディスコースが与える影響も無視できないため、各次元についての正確かつ深い理解
・6次元の軸は互いに相関の低いものであることへの理解、そのため組み合わせて捉えることが有効であること
・自身が普段無意識に使っている判断の軸が、6つの次元のいずれかに含まれることの腹落ち感
などを踏まえて、直面する事象での活用を重ねて使えるようになっていく、ということになりそうかな。
参考図書「経営戦略としての異文化対応力」を読んで
( https://www.amazon.co.jp/dp/4820726986 )
参考図書の「経営戦略としての異文化対応力」を読んでみると、前述の知的探求による深い理解と共感に至らなくても活用できそうだ!と思った。
「ホフステードの6次元モデル」は、「文化的な」背景から生じる価値観や判断基準の違いへの理解を助けるためのモデルである、と理解した。
6つの軸と各国のスコアを活用することで、自分では思ってもみなかったような価値判断の基準があることに、予め気づくことができるのはとても大きなメリットだと感じた。
そして、その違いを超えて互いに理解し合うために提唱されているのはCQ(Cultyural Intelligence)という概念と共に、
1.学習サイクルを使って繰り返し取り組むこと
2.相手の背景や意図、想いや感情などにも意識を向けて、アウェアネスを高める
3.違いを認識して、尊重し、ビジョンや目的を共有していくこと
という実践的な取り組み。
これらはアサーションのアプローチにも似ているし、「学習する組織」のディシプリンにも通じるものがあるため、これまで取り組んできた内容との親和性は高い。
「ホフステードの6次元モデル」は、生まれ育った環境が、自分自身の基本的なものの考え方や視点に影響を与えることを理解するのには、とても役に立つようだ。
新たなステレオタイプに陥らないように留意は必要だが、常に自分以外の複数の視点をもってお互いに理解を深める姿勢を持とうという意識にさせられる良いアプローチだと感じた。