
彼氏日記2
彼に期待することが増えた。今日もLINEの返信が遅くて嫌な気持ちになった。嫌な気持ちを抑え込んでパチンコ屋に入ったら勝てたけど、古物商の位置が分からず、千葉の見知らぬ土地で泣きそうになった。
友達と食事の予定があるのに気分が沈んだままで、彼とのLINEの画面を何度も開いてはため息をついた。
LINEの返信を早くしてほしいと願うのは何故だろう。
LINEの返信をしてくれたら他の女とセックスをしていないという証拠になるわけでもないのに。
LINEの返信をしてくれたら、私のことを考えてくれている証拠にもなったりしないのに。
私は自分の寂しさをぶつけているだけなんだろうな。と思う。
友達カップルと自分たちを見比べているんだと思う。尽くしてくれる恋人がいる友達を羨ましく思って、私も彼氏に友達がされたことと同じことをしてほしいと願う。願ってしまう。
私が本当に彼氏にしてほしいと願っていることは一体なんだろうか。
それが世間の意見とズレていても、自分の考えなのだから自信を持てたらいいのに、、。
私は彼に、ずっと健康でいてほしい。菓子パンとかお菓子とか食べないで、美味しい野菜を食べてほしい。
私は彼に、パソコンを見つめすぎないでほしい。ブルーライト浴びすぎだと思う。良くはないと思うから。
私は彼に、散歩のときは明るい服で外に出てほしい。彼の家の近所には街灯が少なくて車通りは多いから。
私は彼に、私が頭を差し出したら頭を撫でてほしい。だいたい撫でてくれるけど、もっと撫でてほしい。
バーっと書いてみたけれど、私が彼に望んでいる事はだいたいこんなもんだ。返信を早くしてくれるよりも、高級レストランに連れて行ってくれるよりも、ロマンチックな雰囲気の場所で薔薇の花束を渡してくれるよりも、
そんなことよりも、私は彼に、私よりも後に死んでほしい。
店の中を5周くらいしても古物商の位置はわからなかったので、同じパチンコ屋から出てきたおじさんに聞いたら横断歩道を渡って〜っと、丁寧に説明してくれた。
友達と食事の時間が迫る。古物商を探しに、冷え切った千葉の街を歩いていく。振り返ったらさっきのおじさんはもういなかった。
LINEを開く。彼からのLINEが入ってる。返信は、あとでいいか。
生きているとわかったから、もういいや。