インスタントな社会で
SNSで、ダンスやメイクや工作やお菓子作り、色んなものが全部「短い時間で楽しめるように」流れてくる。
インスタントな社会だなと思う。
脳がぼーっとしていても、指だけは元気に動いて、スマホをスクロールし、見知らぬ人の作ったものをインスタントに楽しんでる。
何かの料理の作り方をちらっとSNSで見たときに、「意外と簡単そうだな」とまず思った自分がいた。
「私にもやれそう!」と思わせることが投稿主の意図かもしれないけど、なんだか本当にその料理を楽しめるのか不安になった。
スピードを求められる現代。
早く出来上がるもの、仕事に行く前に簡単に作れるもの、夜帰ってきて疲れていてもすぐに作れるもの。
忙しいなあ私たち。
料理をゆっくり楽しむ時間もないなんて、なんだか切ないなあ。
簡単に完成するものは、確かに生活を助けてくれるけど、父から教わった包丁の持ち方や母に教わった母の母国の料理が脳裏に浮かび、
ひとことに料理を作れるといっても、こんなにも「想い」が違うのはなぜだろうと思った。
目を見て、手が触れて、ゆっくり話しながら両親がキッチンに立ち、なにもかもを教えてくれたあの日曜日たちの朝。
実家を離れて数年、今はこんな小さな画面から、新しいレシピを自分の頭の中に入れてる。
彼氏と狭いキッチンに2人で立って、協力しながら作る料理のことをふと思い、ああそれそれ、楽しいよなと思った。
口で感じるだけじゃなくて、料理ってそこまでの過程も必要なものなんじゃないかと思う。
ゆっくり、のんびり、何もかもを楽しみたいけど、叶わないね。そう簡単には。
今の生活をすぐにガラリと変えるわけにもいかず、私はまた明日も現代人のように満員電車でガタゴトガタゴト、忙しない生活を送るわけです。
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