Tadashi Yano

人生100年時代、大学に戻りリスキル後、独立開業。人は移動距離と出会いの数に比例し成長…

Tadashi Yano

人生100年時代、大学に戻りリスキル後、独立開業。人は移動距離と出会いの数に比例し成長できると信じ、ノマドワーカーとミニマリストにチャレンジ。公認会計士、JDLA Deep Learning for ENGINEER。フォロー大歓迎です。

最近の記事

vol.55 新リース会計の導入準備に役立つテクノロジー

はじめにリースに関する会計基準 (以下「新リース会計」) が先週 (2024年9月13日)に 公表されました。 リース取引は多くの会社で活用されており、新リース会計の影響を受けない会社はほぼないといってよいのではないでしょうか? そういうわけで、早くも解説やセミナーに関する情報が飛び交っています。 新リース会計は2027年4月1日以後開始する年度の期首から強制適用となっており (例: 2028年3月期の期首)、基準公表から2年以上もの準備期間がおかれています。 これ

    • vol.54 兵庫県知事問題を見て思ったこと

      はじめに兵庫県知事のパワハラや暴言等の疑惑で告発文書で指摘された問題が大きな注目を集めています。 この問題は、地方自治体に限った話ではなく、より広範囲な組織におけるガバナンスのあり方に一石を投じるものかと思われます。 そこで今回は、「兵庫県知事問題を見て思ったこと」として、会計士である私がこの問題をどのように考えたか、特に内部通報制度の重要性について考察してみたいと思います。 兵庫県知事問題の概要兵庫県知事問題の要点は以下の通りです。 1. 斎藤知事のパワハラや暴言等

      • vol.53 ポスト資本主義と会計の役割

        はじめに企業会計に関する仕事をしていると、会計不正やその他の不祥事に遭遇することがあります。 その際、「不正のトライアングル (「動機」「機会」「正当化」の3つの要因) 」にあてはめていくと、多くの場合、数値のプレッシャーや私的な誘惑が存在していることが多いです。 我々はこれまで実に多くの便益を資本主義から享受してきましたが、個人も法人も財務資本の規模は成長し続ける (続けなければならない) と思いがちであり、その結果、様々な弊害が顕在化している現状が浮き彫りになります。

        • vol.52 独立後に思うチーム運営の大切さ

          はじめに士業として独立後フリーランスとして働いていると、様々な仕事に取り組む機会があります。その中には個人で行う仕事もあれば、色々な方々とチームを組んで行う仕事もあります。 チームで行う場合、まずはWebでキックオフミーティングを持ち、ではみんなで頑張っていきましょう、ということになるのですが、バックグラウンドの異なる様々なメンバーがオンラインで集まると、コミュニケーションも容易ではなく、会社勤め時代とは異なる問題に遭遇することがあります。 そのような中、先日Google

        vol.55 新リース会計の導入準備に役立つテクノロジー

          vol.51 J-SOXで考える紅麹問題

          はじめに小林製薬株式会社 (以下「小林製薬」) は2024年3月22日に紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせを発表しました (以下「紅麹問題」)。 亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表すと共に被害に遭われた方々とそのご家族に対し、心よりお見舞い申し上げます。 さて、紅麹関連製品の自主回収が発表されて以降、紅麹問題は単なる製品の欠陥にとどまらず、企業の危機管理能力や社会的責任が問われる重大な事案となっています。 そこで今回は会計士目線で2024年3月22日以

          vol.51 J-SOXで考える紅麹問題

          vol.50 技術継承のパラダイムシフト

          はじめに昨今様々なところで技術の属人化リスクについて警鐘が鳴らされています。 例えば以下は製造業の事例ですが、業界に関わらず日本全体の共通の課題ではないでしょうか? しかし、このような問題に対処するためにマニュアル化を進めようすると、「それは中々難しい」という反応が返ってくることも多いです。 そこで、今回は「技術継承のパラダイムシフト」ということで、技術継承の方法について整理し、どの方法に重きをおくべきかの判断基準を考えてみました。また、日本の文化的背景やテクノロジー等

          vol.50 技術継承のパラダイムシフト

          vol.49 AI時代に外国語を学ぶ必要性について考えてみた

          はじめにAI時代の今、色々な言語が瞬時に翻訳されるようになってきており、私もDeepL等のツールを使っています。 ひと昔前はレベルがちょっと怪しいと感じる場面もありましたが、その後急速に精度が上がり、最近はかなり自然な形で翻訳結果を示してくれます。 このような流れはテキストのみならず、音声にも波及しだしており、Web会議等で自動翻訳を見ながら議論する、という世の中が普通になるのはそれほど遠くないのかもしれません。 そのような中、先日ビオリカ・マリアンさんの著書『言葉の力

          vol.49 AI時代に外国語を学ぶ必要性について考えてみた

          vol.48 TRIO展で感じる多様な視点

          はじめにいよいよパリオリンピックが始まりました。 開会式はスタジアムで行われるイメージはあるのですが、各国のアスリート達がボートに乗ってセーヌ川を進む光景はとても新鮮に感じました。 開会式でのセーヌ川を見ながら、ふと先日訪れた国立近代美術館のTRIO展でのセーヌ川を含めた「川のある都市風景」(後述) を思い出しました。 そこで今回は、TRIO展での体験を振り返りながら、「TRIO展で感じる多様な視点」として、アートを通じて感じる異なる視点の重要性に整理してみようと思いま

          vol.48 TRIO展で感じる多様な視点

          vol.47 会計士のライフ・シフト

          はじめに早いもので前職を退職してからあっという間に9ヶ月間が経過しました。そのような中で、先日たまたま「16歳からのライフ・シフト」という本を読む機会がありました。これが今の人生を考えるフレームワークとしてとても有用であると感じました。 ライフ・シフト (2016) やライフ・シフト2 (2021) も過去に読んではいたのですが、最新のこの書籍 (2023) を通じて、改めて勉強し直しました。高校生向けに書かれているだけあってとても読みやすかったです。 そこで今回は「会計

          vol.47 会計士のライフ・シフト

          vol.46 会計士、 調査報告書を要約するコードを書き、 その出力を考えてみる (gpt-4o-miniにアップデート済)

          はじめに第三者委員会ドットコムというサイトを見ていると、多くの会社で様々な不正が起きていることがわかります。 同サイトには調査報告書のPDFリンクもあり、非常に便利ですが、近年の報告書はボリュームが多く、全て読むのは容易ではありません。 そこで、日付を指定すると、自動で同サイトにアップされている調査報告書をダウンロードし、PDFからテキスト抽出の上、原因や再発防止策を要約するコードをPythonでドラフトしてみました。 サンプルコード以下、筆者のGoogle Colab

          vol.46 会計士、 調査報告書を要約するコードを書き、 その出力を考えてみる (gpt-4o-miniにアップデート済)

          vol.45 知識民主化の新たな波 (生成AIと活版印刷革命)

          はじめに先日、GoogleからGoogle Notebook LMというサービスが発表されました。 同サービスは、Googleの開発した生成AI Gemini 1.5 Proを活用したリサーチツールであり、ユーザーが指定した特定のデータ (例: PDF、スライド、ウェブURL等) を学習の上、チャットを通じてこれらのデータセットに基づいた回答を得ることができます。 今後「ある特定の専門データを参照して人間と自然言語でやりとりを行う生成AI」という分野はどんどん伸びていき、

          vol.45 知識民主化の新たな波 (生成AIと活版印刷革命)

          vol.44 コンピューティングの未来

          はじめに2024年6月28日、Appleは日本でApple Vision Proを発売しました。Appleにとって2015年のApple Watch以来、実に約9年ぶりの新製品となります。 このデバイスは空間コンピューティングという新しい体験を提供し、現実世界とデジタル世界をシームレスに融合させることを特徴としています。 Appleはこの新製品のデモ体験を提供しており、私も先日事前予約を経て、Apple Vision Proのデモ体験を行ってきました。 そこで今回は「コ

          vol.44 コンピューティングの未来

          vol.43 上場と非上場、結局どちら?

          はじめに2023年以降、MBO (マネジメントバイアウト) という言葉をよく見るようになりました。MBOとは、企業の現経営陣が主体となって資金を調達し、自社の株式を買い取って経営権を確保する取引手法です。MBOにより、経営陣は株主の意向や市場の圧力から解放され、長期的な経営戦略を自由に実行することが可能になると言われます。 MBOは本来、上場か非上場かを問いませんが、日本の場合は特に上場していた会社の非上場手段として取り上げられることが多いと感じます。2024年も上場会社の

          vol.43 上場と非上場、結局どちら?

          vol.42 点と点がつながっていく感覚

          はじめに先日、ヴィクトール・フランクルの名著『夜と霧』を読みました(映画『関心領域』を鑑賞した影響です)。 この作品は、私が独立してから直面する様々な事柄が一気につながっていく不思議な感覚をもたらしてくれました。そこで今回は、点と点がつながっていく感覚について考察していこうと思います(抽象的かつ内省的な内容となっています)。 夜と霧の概要『夜と霧』は、オーストリアの精神科医ヴィクトール・フランクルによって書かれたもので、第二次世界大戦中にナチスの強制収容所での自身の体験を

          vol.42 点と点がつながっていく感覚

          vol.41 リーダーシップを考える

          はじめにここ数年、どこでも変革の必要性が強調され続けています。このような事象は様々な形で顕在化していると感じます。 東京証券取引所によるPBR (株価純資産倍率) 改革 非上場化と大胆な経営方針の転換 大企業とスタートアップ間のコラボレーション 労働市場の変化に対応するための学び直し 副業や転職を通じて今までとは異なる新たな経験やキャリアを追求 私も人生を振り返れば、所属する組織も個人も (そして会計でも)、 ずっと変革を続けていると感じます。 ヘラクレイトスは

          vol.41 リーダーシップを考える

          vol.40 会計士によるリトリート体験記

          はじめに先日、株式会社Zentre主催 (Be-Nature School共催) による「ZENネイチャー・リトリート@屋久島」に参加してきました。 リトリートという言葉は聞いたことがあるものの、実際にどういうものなのか、イメージできない方も多いかと思い、今回はその体験記とさせて頂きます。 リトリートとは何か?リトリート(英語: Retreat)とは、日常生活や仕事から離れ、心身のリフレッシュと内面的な成長を目的とした短期間の滞在を指します。語源はラテン語の「re-」(再

          vol.40 会計士によるリトリート体験記