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vol 59. 会計士による生成AI食べ比べ

はじめに

会計士の仕事はAIと親和性が高く、BIG4と呼ばれる大手監査法人 (そのグループ会社を含む) からは日々多くのプレスリリースがなされています。

生成AIはどんどん進化しており、使い勝手が向上していますが、私のような独立会計士の場合、上記のようなサービスを作ることには限界があります。

そこで今回は、独立会計士が既存の生成AIサービスを使いながら感じたことを「会計士による生成AI食べ比べ」としてまとめてみることとします。

なお、本記事においては「会計士と生成AIの共存について100字でまとめてください。」という統一した質問を各生成AIに投げかける形としております。


1 頼りになる壁打ち相手

まずは会計士の日常業務やクライアント対応で幅広く使える一般的な生成AIツールです。私は壁打ち相手として使うことが多いです。

1-1 ChatGPT

OpenAIが提供する生成AIで、自然な対話形式でサポートしてくれます。

会計士と生成AIは、AIがデータ分析やルーチン業務を効率化し、会計士が戦略的な判断やコンサルティングに専念することで、協力し合い業務の質を向上させる共存が可能です。

ChatGPTに「会計士と生成AIの共存について100字でまとめてください。」と質問

ChatGPTは音声でのやり取り (Advanced Voice Mode) が秀逸で、本当に壁打ち相手が隣に座ってくれているかのようです。

1-2 Claude

Anthropicが開発したAIで、いつもClaudeの日本語の表現が一番洗練されていると感じます。

生成AIは会計業務の効率化や分析力向上に貢献するツールとなる。一方、会計士は専門知識や判断力を活かし、AIの結果を解釈し戦略的助言を提供する。両者が補完し合うことで、より高度な財務サービスの実現が可能となる。AIと人間の強みを組み合わせた新たな会計のあり方が模索される。

Claudeに「会計士と生成AIの共存について100字でまとめてください。」と質問

私の場合、壁打ち相手に加え、文章表現にもこだわりたいときはClaudeを使うことが多いです。

2 信頼できるリサーチ担当

次に会計士のリサーチに適している生成AIツールです。回答の根拠となるリンクが提示されるので、私はなるべく一次情報を探しつつ、誤情報になっていないか (例: ハルシネーション) をチェックするようにしています。

2-1 Perplexity AI

質問に対し、情報源に基づいた回答を得られるリサーチツールです。

会計士と生成AIは相互補完的な関係にあります。AIが定型業務を効率化する一方、会計士は高度な判断や戦略立案に注力できます。両者の強みを活かすことで、監査の質向上や新たな価値創造が可能となり、会計業界全体の発展につながります[1][2][3]

Perplexity AIに「会計士と生成AIの共存について100字でまとめてください。」と質問

特に特定の会計基準について調べる際、信頼性のある情報源を確認しながら情報を収集できる点で非常に役立ちます。

2-2 Genspark

こちらもPerplexity AIと同様、情報源と共に回答を得ることができます。

会計士と生成AIの共存は、業務効率化と質の向上を実現する。AIはデータ処理や報告書作成を迅速化し、会計士は戦略的判断や顧客対応に専念できる。これにより、会計士の役割はよりクリエイティブで価値の高い業務へとシフトすることが期待される1 2 3 4

Gensparkに「会計士と生成AIの共存について100字でまとめてください。」と質問

なお、GensparkにはAutopilot Agent (記事の投稿日現在は「ファクトチェック」機能のみ公開) というものがあります。例えばあるお題について事実関係を調べておくようお願いすると、サイトを閉じても自律的にチェックを続け、作業が終わったらその結果をメールで回答してくれます。

出典: 筆者
出典: 筆者

今後基準の正確性チェックといった用途で使っていけそうです。

3 その他困ったときの専門家

他にも特殊なケースに頼れる専門家もどんどん出てくるので、人間は本当にうかうかできないです。

3-1 Felo

質疑応答型のリサーチAIで、ユーザーが自由に質問をし、それに関連する回答を即座に提示してくれます。Perplexity AIやGensparkと同じ用途での説明が多いと思いますが、Feloを使うとスライドやマインドマップまで作成してくれます。

Feloに「会計士と生成AIの共存について100字でまとめてください。」と質問
その後、マインドマップを生成

日本発のサービスということから、個人的にも応援しています。

3-2 Napkin AI

イラストやビジュアル化に強みを持っています。視覚化の機能が非常に優れており、複雑なアイデアを図として表現の上、提示することが可能です。

Napkin AIに「会計士と生成AIの共存について100字でまとめてください。」と質問
その後、イラストを生成

士業の方は相手の立場に立って相手の言葉を使いながら説明することを失念しがちなので (私もその傾向があります。)、このような形で絵にすることができれば伝えることが楽になっていきそうです。

4 チームへの合流待ち

4-1 Gemini

この記事を読んでいる方は、Googleの提供するGeminiを使っている方も多いかもしれません。

会計士業界はMicrosoft365を使っている方が多いと感じますが、私は普段Google Workspaceで仕事をしており、Geminiにも当然アンテナを張っています。

しかしながら、Gemini for Google Workspaceの日本語対応が限定的になっており (記事の投稿日現在はアルファ版の模様)、私はほとんどGeminiを触っておりません。こちらは本格導入がされたら会計士の仕事との相性を含め、また記事にまとめてみたいと思っています。

サイドパネルですが、待望の日本語対応が開始となりました。(2024年10月8日現在)現在はアルファ版としてリリース、順次実装される予定です。

出典: TS Cloud

一方でGoogleのNotebookLM (生成AIはGeminiを利用) はテーマ毎にPDF等をアップロードし、適宜業務で活用するという状況です。

まとめ

私のフリーランサーとしての経験に基づき、既存の生成AIサービスの使い分けについて「会計士による生成AI食べ比べ」としてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?

ITツールは使ってみないと中々分からないので、まずは使ってみることを念頭におき、みなさんも色々なサービスを使ってみると良いのではと思います。

生成AIは既成のものであってもビジネスのパートナーになり得る心強い存在です。是非そのような仲間を求め、今後もテクノロジーの変化を楽しんでいきましょう。

おわりに

この記事が少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。ご意見や感想は、noteのコメント欄やX(@tadashiyano3)までお寄せください。

この記事に記載されている内容は、私の個人的な経験と見解に基づくものであり、過去に所属していた組織とは関係ございません。

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