本気で恋をしていると、服の選び方を間違える。
捨てろ捨てろ捨てろォォォ!!!!(詫びろ詫びろのリズムで)と、勢い良く服を捨てた。
私の今までの服の選び方なんてくそくらえだ。
◆
「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」を読んだ。
この本はオムニバス形式でさまざまな女性の恋模様が描かれる。
元彼の披露宴スピーチを頼まれる化粧品会社勤務のOL、不倫に悩む美容マニア、年下に片思いする文系女子など、本当にさまざまだ。
彼女たちは、各々の理由でとあるセレクトショップを訪れる。
同じ試着室にそれぞれのドラマを見ることができ、小説を読むのが苦手な私でもテンポよく読み終えることができた。
彼女たちが手に取るのは
いかにも彼が好きそうな系統の服や
彼が信頼を置く”あの女”が着ていたような個性的なドレスなど。
心惹かれて試着をするも、着てみるとどうもしっくりこない。
今まで似合っていた服が似合わなくなったり
他の誰かが着こなしている服も着てみるとトリッキーに見えたり
店頭に並んでいたときと自分が着たときのギャップに、自分の変化やもどかしさを感じて落ち込んで。
そこへ試着室の外から「いかがですか?」と声をかける、一人の女性店員。
この女性店員によって彼女たちは
鎧を脱ぎ、期待や自尊心を羽織って
軽快な足取りで街へ羽ばたいていく。
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この本を読んで気づいた。
私は本気で恋をしていると、服の選び方を間違える。
恋をしているとき
試着室の鏡越しに見ているのは
”鏡に映る自分”ではなく
”好きな人の目に映る自分”だ。
自分がこの服を好きかどうか、とか
着ていて気分が上がるか、よりも
”あの人が見たらどう思うか”
で服を選んでいた。
それって大間違いじゃん!!!!
だから後からいらなかったなと思う服が増えるんじゃん!!!!
と気づいて、恋でバグったせいで買ってしまった服たちを、根こそぎ捨てた。
好きな人に可愛いと思ってもらいたい
そんなのあたりまえなんだけど
そんなことより大事なことが何か分かった。
自分のこと自分で励ませるくらいに自惚れさせてくれる服
私が買うべきだったのはそういう服だ。
飽きられないように、傷つかないように。
もっと好きになってもらえるように。
可愛いって言ってもらえるように。
そんな選び方はくそくらえだ!
二度とそんな買い方はしない。
傷ついた帰り道のショーウィンドウや電車の窓に映る自分の姿にさえも自信をもらえるようなそんな服。
それが最高の「戦闘服」じゃないか。
そう思った瞬間
「そうだーーーーーー!!!!」と
全私が雄叫び上げながら拳掲げて賛同してくれた。
うぉーーーーー!っという歓声を浴びながら
サッパリしたクローゼットを眺めて
「”自分が好きな自分になれる服”を買いに行こう!」
そう決めて、にやけるほどに胸が弾んだ。