【最終回】「原稿用紙を埋める方法を誰かぁぁ」という方をお助けしたいです~読書感想文に泣きそうな人へ④中高生向け
【第四回】※最終回
「入賞なんて考えてないから、原稿用紙を埋める方法を誰かぁぁ」
と泣きそうになっている方へ。
お気持ちが分かりすぎて、胸が痛いです。
なんとかお力になりたくて、少しでも楽になれる書き方をご用意しました。
※入賞を目指す方の参考にはなりません。
あくまで「感想文なんて一文字も書けない」「書いても数行でギブ」と涙目になってしまっている方向けです。
※今回【第四回】
【第一回】何をどう書いたら良いか分からない人へ、おススメの発想の転換
【第二回】≪感想文の書き方その1≫と、超重要な注意点
【第三回】感想が何も浮かんでこないので書きようがない人へ、感情を見つける方法
【第四回】≪感想文の書き方その2≫
今回は、【第三回】の最後に予告で申し上げた、
本は読んだけど「なんかよく分かんない」と書けないでいらっしゃる方に向けてお話しします。
※準備の段階で、重要な事~感想文を書く本の選び方
知らない単語が多くない方が良い
「知らない単語、何個までなら良いんですか?」
という質問が来そうですが、人によりますので、あなたが「多い」と思わない限り何個でも大丈夫です。
感想文を書くのに知らない単語をいくつも放置したままでは、
そりゃさすがに、
「なんかよく分かんない」
になってしまいますから、出てくるたびに調べましょう。
それが嫌にならない程度の数、ですね。
情報量が多くて頭の中に保持できないものは避けた方が良い
例えば登場人物を覚えるのが苦手な方。
「誰が誰だか、名前を見ても毎回、パッと思い出せない」という方はけっこういらっしゃいます。
何人までなら良いのか、これも人によりますので、あなたが「多い」と思わない限り何人でも大丈夫です。
もちろん、自分で一覧表を作っていつでも見られるようにします、という人はそれでも良いです。
また、世界設定。
ファンタジー物は、ファンタジー慣れしていないと、即座にその世界観が頭にインストールされません。
あなたの頭の中に、アニメや映画を見ているように世界が見えてこないものは、避けておいた方が無難かとは思います。
文章量(文字数)も多くない方が良い
これだけは、はっきりとおすすめの上限を申し上げておきます。
あなたが無理なく読むスピードで、
感想文を書き上げる期間の間に、
数回以上回読み直してもまだ余裕がある程度のページ数まで、
です。
例えば、「一日で書いてしまう事にする!」
という方は、
一日で2~3回読んでさらに書く余裕が頭と時間に残っている文字数、までがよろしいかと思います。
一読だけで大量の原稿用紙を埋める方が、大変だと思いますよ。
では、準備編はこのくらいにして。
読んでも「なんかよく分かんない」感想だった方へ、
分からないままに書く方法、本編です。
≪感想文の書き方その2≫
まず、感想をぶちまけてどんどん書きます。
※【第二回】参照。
それで原稿用紙が埋まらなかったら、
または、感想らしきものが浮かばなかったら
以下のネタをどうぞ。
ネタ① テーマの謎について
「なんかよく分かんない」という感覚は、たいてい、
『全体として何が描かれていたのか?』
が分からない時です。
「で? 何が言いたかったの?」的な。
漫才がお好きな方は、
「オチは?」
という表現になるかもしれません。大喜利が好きな人は、
「そのココロは?」
かもしれませんが。
でも、皆さん、自分達が散々嫌がってきた国語のテストの、
『筆者は、この物語を通して、私達に何を訴えたかったのでしょうか。』
という問題を、自分で自分にしてどうするんですか!(笑)
そもそも、筆者は、最初からテーマありきで書き始めない場合の方が多いそうです。
しかも、感想・感情に正解はない、と【第一回】で私は申し上げました。
例えば、ある同じ本を読んでも、感想は全く違ってきます。
「歴史の壮大さが描かれていた」
と感じる人もいれば、
「勝者と敗者が入れ替わっても、結局は同じ事を繰り返す、人間という生き物の愚かさが描かれていた」
「磔の刑は最大に苦しめるために即死しないような場所をものすごく抜き差ししにくい形の槍で突き刺しかつ気絶するたびに中断し気を取り戻してからまた突き刺すだの、取った相手の首級は武士の妻が井戸水でジャブジャブ洗って整えてからお上に見せるなど、グロテスクな場面も誤魔化さない意欲作だった」
「きちんとした時代考証に基づいて書かれ、花開いた当時の文化の明暗をはっきりとみせる作品だった」
「何もかも自由にならない中で懸命に生きた、たくさんの人達の物語だった」
「涙なくしては読めない、悲恋の物語だった」
などなど、様々出てくる事は必須です。
ですから、描かれているテーマは、パッと分からなくて良いのです。
それに、たった一言で要約するのは、コピーライターのプロでも大変なのです。
“スバラシイ”ものを書こうと力まなくて大丈夫です。
それでも、自分なりに考えてみるというのは、とても面白い試みと思います。
もちろん、「だってさぁ」という自分の思いを続けて書く事もお忘れなく。
具体例です。
筆者公認のテーマ、いちおう知っておきたい、ですか?
それ、まんま本の“タイトル”です。
ネタ② 登場人物の言動の謎について
「なんかよく分かんない」という感覚になってしまう二つ目の理由は、
登場人物に感情移入や共感できないために、本の中の出来事が
自分の中で完全に他人事になってしまっている時です。
誰がどうした、は分かった。
でも言動の理由がイミフ(意味不明)、
と言う方。
自分だったらどうしたかを書いて、その“続き話”を書いてみて下さい。
それをひとしきり書き終わったら、そのまま、物語の先まで行ってみましょう。
最後は、どんなラストになりましたか。
それは、自分の思う最高のラストですか。
それも書きましょう。
書きながら、もし、
「ああ、自分はこういう、メリバ(作者注:メリーバッドエンド。『ロミオとジュリエットに代表される、結ばれるが悲恋に終わるラスト』)な終わり方が好きだったんだな」
というように、今まで自覚や意識していなかった自分の価値観が発見出来たら(書けたら)、なおGOODです。
もし、
「ああ、だからこいつはあそこで……」
と、行動の理由が分かっちゃったら。
「マズーイ、最初から書き直ししないといけなくなったー」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな事はありません。
そのまま、
「こう考えていった結果、こうするしかなかったのだと分かりました」
という感想文で全く問題ありません。
自由でも良いのです
人の性質はそれぞれです。
感想文の書き方を、構成から始めてしっかりと解説して下さっている方は、きっと、
“型がきっちりあった方がやりやすい”というタイプでいらっしゃるのでしょう。
私は少し違うタイプなので、このような形でお話ししてまいりました。
困っている方のために、という心は、どの方もみんな同じだと思います。
どうか皆さんが、ご自分にあった感想文の書き方を見つけて、
あまり苦しまずに宿題を終えられますように。
心よりお祈りしています。
いえ、確信しています。
せっかく頑張るのですから、これから将来生きていくのに必要な力も、同時に身につけられます事を。
≪終≫
【第一回】から復習なさる方はこちら
https://note.com/yanakiharuko/n/n2f399330142a