源氏物語ー深い森のように尽きぬ読み処
(1)「召人」に紫式部が込めたもの 源氏物語については、古来多くの識者が「何度読んでも新しい発見がある」と評しています。長年研究してきた専門家ですら「読むたびに違う感動が得られる」という感想を口にされるのを聞いたことがあります。専門家ではない私も、源氏物語に接するたびに同じように感じています。
最近の源氏物語体験で強く印象に残ったことの一つは「召人(めしうど)」について作者・紫式部の描き方が質・量とも大変念入りなことです。
「召人」というのは、平安時代の貴族の邸で主人の男