【4選】Amazonプライムで配信中のおすすめミニシアター系映画
ミニシアター系(単館系)映画。それは日本ではあまりメジャーな作品ではなくて、上映される映画館も限られてしまい、気軽に観られるものではないマイナーなもの、マニアックなものかもしれません。
でも、実は海外の映画界では注目されている作品もあるし、何より、誰が注目していなくても自分にとっては人生最高の一本になるかもしれないという可能性を帯びています。
2022年10月の3連中も間近。そこで今回は、私がおすすめするAmazonプライムで配信中のミニシアター系映画をご紹介します。(タイトルの後ろは、日本公開年/製作国です。)お休みのお供にぜひどうぞ。
心と体と(2018年/ハンガリー)
おすすめポイント
静かで美しい色合いの画面に、突然色鮮やかに表れる食肉処理場の鮮血。主役の女性のコミュニケーションの不器用さと、男性の人生を諦めきった雰囲気……そして夢の中の鹿。もしかしたら、目に見えるものすべてがなにかを示唆しているんだろうか、と思える不思議な雰囲気。淡々と進むのに目が離せない映画です。熱烈なラブストーリーではなく、「そこに緩やかに表れたものに静かに手を伸ばす」ような作品。
本作の監督、イルディコー・エニェディは日本で2022年に公開されたレア・セドゥ主演『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』も手掛けています。
『ストーリー~』の男女関係は、「動的な運命」を感じるところがありますが、『心と体と』はそれとは真逆な景色が見えて、とても興味深いです。
燃ゆる女の肖像(2020年/フランス)
おすすめポイント
登場人物が聞こえてる音しか鳴らない、BGMがない静かな映画。その分、海の音や生活音、登場人物の呼吸音が耳をくすぐって臨場感があり引き込まれます。
まるで油絵のようなカメラワーク・色遣いも多く、まさに「美しい映画」です。恋に落ちるマリアンヌとエロイーズが、いわゆるイエベ・ブルべの色味というのも視覚的に計算されているように思いました。
この、静けさの中で鳴る音・語られる言葉・彼女たちが見せる表情の一つ一つが、登場人物の繊細な胸の内を表現していて、本当に胸が苦しくなりました。女性二人の恋愛が、海辺でどのように始まりどのように展開していくのか、最後まで見届けて頂きたいです。
ぶあいそうな手紙(2020年/ブラジル)
おすすめポイント
高齢者映画好きな私ですから、Amazonプライムでも高齢者映画をおすすめせずにはいられません。
本作は主人公エルネストの家や生活圏を舞台にしている物語。思い出が詰まった書斎、綺麗に掃除された息子の部屋……。それらの描写が、彼の人生を優しく手で労わるような雰囲気で暖かいです。
そして、彼の部屋にやって来るビアが必ずしも清廉潔白な人間ではないのが、本作を「陳腐な感動映画」にしないスパイスとしてよく効いているんですよね。
ところで、海外の「独居高齢者映画」ってその多くがアパートの隣人や友人との繋がりを描いていて、実はそこまで孤独ではないよな? なんて思います。日本の高齢者映画と言えば、『PLAN75』みたいな作品の方がリアリティを感じてしまいますね……。
私は確信する(2021年/フランス・ベルギー)
おすすめポイント
実際に起きた事件・実在する人々を題材にした映画。それ故のリアリティにハラハラしっぱなしの映画です。
公開当時に鑑賞した私は、えらいモンを観てしまった……と呆然としました。上記あらすじを読んで、「よし、犯人捜しするぞ!」と張り切る気持ちになった人や、「自分は普段から冷静で中立な立場を保てるから」と無意識に信じている人には、ぜひ鑑賞して頂きたい映画。足元からガラガラ崩れていく何かを味わえるはずです。
また、熱量の高い法廷の場面も見所。
フランスの司法の場では、陪審員の「うちなる確信(原題直訳)」が求められるそうです。そのため、弁護士が陪審員に対して、感情に訴える・真実に近づくための熱意を示す必要もあるのだとか。
実在する弁護士・デュポン=モレッティは、この事件で実際に1時間ほど名演説をしたという逸話が残っています。流石に映画で1時間は使えないけれど、オリヴィエ・グルメの名演技に圧倒されました。
今回は、私がぜひともおすすめしたい映画、しかしあまり広くは公開されなかったと思われる映画をご紹介しました。おうち時間を利用して、この機会にお楽しみ頂ければ嬉しいです。
最後に
今回取り上げた映画は、2022年10月時点でAmazonプライム特典で観られる作品です。本記事をご覧頂くタイミングによっては、配信時期が終わっている・レンタルになっている場合がありますので、ご了承ください。
ミニシアターとは『ロードショーなどのブロックブッキングシステム(事前に決められた作品を同系列のすべての映画館で一定期間上映する方式)を取らない、独立した形態の映画館のこと』と一般的に言われています。今回挙げた映画はいわゆるミニシアター系、単館系の映画だと私が認識している映画ですが、厳密には違う場合があるかもしれません。
が、そこは『ミニシアター系の雰囲気がある映画』ということで、大目に見て頂けると幸いです。
※追記:ありがとうございます!
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© 2022 Aki Yamukai