Amazonで観られるクリスマス気分を盛り上げる映画4選+おまけ
11月に入った途端、街並みはクリスマスムード一色になりますね。なんとなく気持ちもそわそわし始めます。
今回は、年末まであと少しのこの時期におすすめの映画を4作品集めました(そしておまけに2024/11/8公開の映画のご紹介も)。4作品はAmazonで観られるもの・DVDやBlu-rayが購入できるものを選びましたので、おうちで過ごす時間や旅の移動中にぜひお楽しみ下さい。(“Amazonで観られる”は、本記事公開2024/11/13時点です。ご注意ください)
※キャストや映画に関連したエッセイを書いている作品については、各作品の最後にエッセイのリンクを貼っていますので、あわせてどうぞ~
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ
2024年/アメリカ
キャスト:ポール・ジアマッティ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、ドミニク・セッサ
今回ご紹介する映画の中で最もストレートにクリスマスを描いている映画と言えるのが本作。1970年の冬、ボストン郊外にある全寮制の学校でクリスマス休暇を過ごすことになった学生・教員・料理長のお話です。
もちろん、アメリカで暮らす人たちにとってクリスマス休暇は大切なもの。家族と賑やかに過ごしたい、一人で好きにのんびり過ごしたい、など思うところは十人十色。ですが、本作に登場するのは不本意ながらそれぞれの事情で寮に残ることになった人たちです。
学生のアンガスは、再婚したばかりの母に旅行の約束を反故にされてひとりぼっちに。捻くれた性格で嫌われ者のハナム先生は学生の監視役で寮に居残り。料理長のメアリーは、彼女は戦争で一人息子を亡くしたばかり。(メアリーを演じるダバイン・ジョイ・ランドルフは、本作で第96回アカデミー賞® 助演女優賞を受賞しています。)
みんな普段は平然と振る舞っていても、心の中には孤独や挫折や喪失を抱えている。クリスマスというのはある意味で、そういった心の柔らかいところがじわりと滲み出てしまう季節とも言えます。
それぞれの人生の段階も違えば事情も違う、立場も人種も違う彼等がクリスマスをどのように過ごすのか。クリスマス休暇が明けた時、彼らはどんな変化を迎えるのか……。人の感情の機微を繊細に描きつつ、大袈裟な展開ではなく暖かなヒューマンドラマとして作り上げている、優しい映画です。
観る人によって誰に感情移入するかが変わるでしょうし、同じ人でも鑑賞するタイミングによって心の寄せ方は変わるでしょう。そういう意味では、人生を通して長い付き合いになる一本かもしれません。
希望の灯り
2018年/ドイツ
キャスト:フランツ・ロゴフツキ、ザンドラ・ヒュラー
ドイツ再統一後、旧東ドイツにある大きなスーパーマーケットで夜勤の時間帯に働く人たちのお話。主演2人は私が大好きな俳優さんで、ドイツの名作映画といえば顔を見かけることの多い2人です。(私は本作で2人を知りました。)
ドイツのクリスマスといえばクリスマスマーケットを連想される方も多いとは思いますが、本作の舞台はごく普通のスーパー。だけど、そこには人生があって、ささやかなクリスマスがあって、恋がある。スーパーなんていつも見てるからドラマチックなわけないだろ、と通り過ぎてしまうのがもったいない! 普段の生活で当たり前のように見ている世界の裏側が愛おしく思える映画です。
ちょっとそれはどうなんだ、と思う場面もあるにはあるのですが、それを凌駕する暖かさがある不思議な雰囲気。このスーパー自体がなんやかんやいい職場だなと感じる場面が多く(夜勤独特の空気感なのかも)、仕事の帰りに握手してから帰るとか、新人が仕事を長く続けられるように目配りを忘れないとか、そういうところが暖かさにつながっているのかもなぁと思いました。
ちなみに、本作ではフォークリフトがよく出てきます(大型スーパーなので商品の出し入れに使うのです)。
そのため、役者たちや監督はそれぞれフォークリフトの免許を取得したとか。まるで普段からフォークリフトを使いこなしているかのような自然な演技にも注目です。
天使にラブソングを…
1992年/アメリカ
キャスト:ウーピー・ゴールドバーグ、マギー・スミス
クリスマスと言えば讃美歌! 年末年始の寒くて少し切なくなる気持ちを吹き飛ばす、笑って泣ける不朽の名作をご紹介します。
あまりに定番すぎて、逆にご覧になったことがない方もいらっしゃるのでは? 何を隠そう私がまさにそれで、実は映画より先にミュージカルを観ています。初めて映画をちゃんと観たのは2022年の金曜ロードショーでした。ありがとう金曜ロードショー。
破天荒な売れないクラブの歌手デロリスが、ギャングから逃れるために厳格な修道院に逃げ込んで……というドタバタコメディ。2024年に天に召されたマギー・スミス(『ハリー・ポッター』シリーズのマクゴナガル先生としてお馴染み)が演じる修道院長と、ウーピー・ゴールドバーグ演じるデロリスの関係性がだんだん変わっていく様も見所です。
とにかく笑える! そして最後はダバダバ泣ける! 喜怒哀楽の全てを感じられる名作。ストーリーはもちろん音楽も最高で、モータウンサウンドを肌で感じられます。
サイレント・ナイト
2021年/イギリス
キャスト:キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード
吸ったら死ぬ謎のガスが蔓延する世界、明日にはガスがイギリスに到達するぞ…という最中、さいごのクリスマスを祝うために集まった家族のストーリー。クリスマスだからってこの映画を一緒に観ようと誘われたら、どんな顔をすべきか悩んでしまうあらすじですね。
この舞台設定、何もなければ「B級映画みたい」と思ってしまいそうなのですが、コロナ禍の外出自粛期間を知ってしまった私たちにとって、そこまで他人事でもありません。ただの散歩が、買い物が、おしゃべりが、命懸けだったということ。外へ出るだけで人に非難される妙な空気感。それを知ってしまった私たちは、この映画に漂ういやぁな空気、諦めや悲しみを妙にリアルに感じてしまうのです。(しかも作中では、イギリス政府から国民にとあるものが支給されています。それがまた……ねぇ……。)
正直、テーマ的に万人におすすめできる作品ではないのですが、こんな豪華なキャストでこんな皮肉なクリスマス映画が作られていたのですよ、とお伝えしたくてご紹介しました。
そうそう、キーラ・ナイトレイとマシュー・グードが演じる夫妻の美しさやクリスマスの装飾のキラキラは眼福です。そちらは手放しにおすすめできますので、ぜひお楽しみに。
【おまけ】レッド・ワン(2024/11/8公開)
2024年/アメリカ
キャスト:ドウェイン・ジョンソン、クリス・エヴァンス、ルーシー・リュー
最後に、公開したばかりのクリスマス映画を。(私はまだ観る前なので恐縮ですが……)→※追記:観ました!感想は後述。
ムキムキのサンタクロース、コードネーム“レッド・ワン”が誘拐されて、彼を救出するために心優しいサンタクロース護衛隊長(ドウェイン・ジョンソン)とならず者で賞金稼ぎのジャック(クリス・エヴァンス)が救出に向かう……というアクション映画。
サンタクロース護衛隊なるやたら近代的な組織、サンタクロースにコードネームがある、ルーシー・リューが指示を出してくれるなど、スタイリッシュな要素満載でクリスマスをお届けしてくれるのがなんだか楽しそう。
また、クリス・エヴァンスの存在も気になるところ。マーベルの『キャプテン・アメリカ』以降、彼はあえてキャプテン・アメリカとは真逆の“能力や金を持っているが性格が悪い、しかし顔はいい男性”を選んで出演している印象がありますね(例えば『ナイヴズ・アウト』のヒュー)。本作も予告編を見る限りはそうしたキャラクターのように思いました。
この映画、大人向けなのか子ども向けなのかわからないのですが、両者共に楽しめる作品なのかな? と現時点では想像しています。気になるクリスマス映画……。
→※追記:感想
びっくりするほど楽しかったです。設定だけで判断するとB級映画と揶揄われる作品になってもおかしくないところを、最高のキャスト・脚本・映像・音楽が全力を注いだ贅沢な作品でした。
子どもでも楽しめるとは思いますが、「かつてサンタの実在/不在に一喜一憂した大人」や「常に緊張感を持って生きている大人」、「何かを子ども時代に置いて来た大人」、そして意外かもしれませんが「自分のキャリアに悩んでいる/転職を検討している大人」に刺さるのでは。
とてもいい作品でした。鑑賞出来てよかったです。私のクリスマスが本作で最高潮に達しました。もし映画までお時間があるようであれば、クリスマスムード一色の街並みを散策してから足を運ぶのがおすすめです。
2024年も終わりが見えてきました。いいことばかりだったとは言えませんが、悪いことしかなかったわけではありません。残り僅かな2024年を楽しく過ごすためにも、お気に入りの映画を見つけてどうか心穏やかな毎日を!
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