忙しい人のための『晴明伝奇』第17話 去りゆく春
全編はこちら↓
▶時期:天徳四年(960)
白虹が太陽を貫いてから、天変が頻りに起こるようになった。陰陽頭は天文密奏を行うことができないため、晴明や十市部以忠が賀茂保憲の代わりを務めた。朝廷は天変を鎮めるために、僧侶たちに熾盛光法を修させたり、大般若経を転読させた。
天象は災いを示し続けたが、都は相変わらず平穏であった。正月の叙位では藤原師輔の息子である伊尹・兼通・兼家らが昇進した。兄弟三人以上が同時に昇進した前例はなく、師輔は栄華の極みだと感嘆した。数ヶ月後には、宮中