FilmEducation in 飯綱町③〜フリースクールに通う子どもたちの「できる」を増やす、映像制作を通した学びの魅力〜
F.ラボアンバサダーの高村ミチカです。小学校教員を11年経験後、現在はフリーランスライター/編集として活動をしています。元教員だからこそ、学校と学校の外側をつなぐ学びの結び目のような存在でありたい。「本物の学び」を引き出すお手伝いをしたい。そんな思いで、F.ラボアンバサダーを務めています。
F.ラボは現在、小中高大や特別支援学級の他、フリースクールや塾など20以上の教育機関と連携して、40以上のワークショップや授業プログラムを実施しています。
今回のシリーズでは、その中でも、長野県にあるフリースクールOZ Fieldさんでの実践をご紹介。1回目は、短期PBLとして取り組んだ「地域の魅力が伝わるCMを作ろうプロジェクト」を、2回目の記事では年間PBLとして取り組んでいる「じぶん通知表」についてお話をしました。
シリーズ3回目の本記事では、子どもたちの学びの姿を振り返りながら、そもそもなぜフリースクールで映像制作を行うのかを紐解いていきます。
「できた」の積み重ねが、子どもの自己肯定感を高める
「継続して取り組んでいるからこそ見える成長がある」
そう話すのは、OZ Fieldスタッフのあかねさん。いつも子どもたちに優しく寄り添い、一人ひとりが自分の持ち味を十分に発揮して自分らしく生きるために何ができるかを考えてくれる素敵なスタッフさんです。
F.ラボとOZ Fieldは開校の2021年以来、約2年のお付き合いになります。単発のプログラムではなく、年間を通しての関わりだからこそ感じる成長があるのだと、あかねさんは言います。
「取材先にアポを取るために電話をするのが怖くてできなかった子が、今では堂々とインタビューをしている。発表会で隠れて出てこれなかった子が今では、自信を持って発表をしている。映像制作という活動を続ける中で、『できる』ことをたくさん増やすことができました。フリースクールに通う児童・生徒の特性上、どうしても自己肯定感が低い子どもが多いからこそ、こういう経験はとても価値があると感じています」
映像制作は一人ではできません。取材先との連絡調整、動画や写真など素材の共有、他者からのフィードバックなどなど、より良い表現にしていくために、他者と関わる必要が出てきます。他者と関わりながら何かをつくりあげていくことができたという成功体験の積み重ねこそが、子どもたちの自信につながっていくはずです。
表現は言葉だけじゃない、映像表現という武器を手に入れる
「映像制作を通して、感情を伝える表現方法が増えた」
と話すのは、映像制作の授業が大好きだというみずほさん。
映像表現は、言語だけではなく、動画や静止画、サウンド、さらには表情やジェスチャーなど非言語表現を掛け合わせて成立するもの。言葉だけではうまく伝えられないことも、非言語表現を組み合わせれば「伝わる」表現にすることができるのです。
フリースクールに通う子どもたちの中には、言葉でうまく自分の感情や思いを伝えられず、生きづらさを感じている子どももいます。表現は言葉だけじゃない、映像表現という武器を手に入れることで、その生きづらさを少しでも解消できるのではないでしょうか。
対等なコミュニケーションが子どもの学びを促進する
「カントクが対等に見てくれることが、子どもたちの成長につながっている」
と話してくれたのは、みずほさんママ。
「障害があるから、支援が必要だからと特別扱いするのではなく、『良いことは良い、ダメなところはダメ』と言ってくれる。それがとてもありがたいことだと感じています。みずほ自身もそれを感じ取っていて、だからこそカントクのことが大好きですし、積極的にフィードバックを聞いています」
みずほさんは、2年間映像制作の授業に継続して取り組んでいます。保護者の目線からも、大きく成長を感じることがあったそうです。
「昔は、何かを作る時にささっと作っておしまいにしてしまうことが多かったのですが、映像制作では同じ映像を何度も見直したり作り直したりするようになりました。どうやったらもっと『伝わる』表現になるかを自分で考えて試行錯誤したりするようになったのが大きな成長だと感じています」
FilmEducation in 飯綱町シリーズは、これにて終了。
ただ映像をつくるだけではなく、他者と協働する、社会とのつながりをつくる、学び続ける、そんなこれからの時代を生き抜くためのチカラを育むことができるのが、Film Educationの魅力です。言葉でのコミュニケーションに課題を感じている子どもたちにこそ体験してほしいと感じました。
私の回では、引き続き<Film Education>の学びの実践についてお届けしていきます。お楽しみに〜。
OZ Fieldでは、「じぶん通知表」以外にも、年間を通して季節を表現する映像制作にもチャレンジしています。
最後にその映像作品をご紹介。
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