「ウアモウとおばけちゃんのふしぎなちから(絵本になるまで―制作の裏側)」 廣済堂の中村和久さん(PD)編
今作から印刷・製本の製造を任せていただきました。
「前作の雰囲気を踏襲した印刷」というオーダーをいただき、自信満々でテスト校正を提出したところ、「彩度が高すぎる」という赤字が返ってきてしまいました。「鮮やかさは正義!」という凝り固まった思考がくずされた瞬間で、同時に作品としっかり向き合っていなかったなと反省したのを覚えています。
表紙についても、ギラギラっと光り輝く特注の銀インキ「LR輝シルバー」に、ツヤツヤのグロスPPではなく、あえてふんわりしたマットPPを組み合わせるとは…大勝負に出たな…!という印象だったのが、完成した本を見た時、作品のふわっとした雰囲気を保ちつつ、おばけちゃんの存在の大きさを感じさせる仕上りになっていたのにはとても驚きました。
肝心の本文の印刷は、前作の印刷との合わせ込みに苦労しましたが、製版と印刷で相談しながら調整を重ね、デリケートな色彩も綺麗に表現できたのではないかと思います。
特に中面にある観音開きの部分は、一見ひと続きの絵柄のように見えますが、実は台割上では左右で折が分かれているため色合わせの難易度が高く、さらに表裏でも同じトーンの絵柄のため、色の調子がぴったり合うように濃度管理を慎重に行いました。
作品の世界観にマッチした風合いに仕上がっていると感じていただけたなら幸いです。
編集者より
廣済堂さんの中村さんと工場のみなさま、大変お世話になりました。
表紙の色や質感をみるたびに良い本だなぁ~と思ってます!
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