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食の可能性を切り拓き、豊かな未来を共創する。SUSTAINABLE FOOD COMPANY サステナブルの輪 Vol.014 ロック・フィールド

皆さまこんにちは。ヤマト運輸公式note編集部です。
連日の猛暑が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

ヤマト運輸公式noteがお届けしている「サステナブルの輪」では、ヤマトグループとともにサステナビリティへの取り組みを推進しているパートナーさまに、サステナビリティに関する活動や想い、狙いについて語っていただいています。

今回は、兵庫県神戸市を拠点に、惣菜の製造・販売を手がけるロック・フィールドさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介します。

ロック・フィールドは、旗艦ブランド「RF1(アール・エフ・ワン)」をはじめとして、「神戸コロッケ」、和惣菜の「日本のさらだ いとはん」、ジュースとスープの「VEGETERIA(ベジテリア)」、アジアン惣菜の「融合」、それらの商品を取り扱う「Green gourmet(グリーン・グルメ)」の6つのショップブランドを展開。デパ地下やエキナカを中心に全国314店舗を展開しています。2022年には、新たに冷凍食品ブランド「RFFF(ルフフフ)」を立ち上げました。2020年には会員組織「ロック・フィールドメンバーズ」を開始し、現在の会員数は約29万人となっています 。

今回、サステナビリティ推進室の渡邉恵子さま、購買本部・調達部の小笹潤子さま、販売本部・業務推進グループの長谷川藍さまに、サステナビリティへの取り組みについてお話を伺いました。


創業者の「環境」への想いとサステナビリティ

一般社会にサステナブルやサステナビリティという言葉が浸透したのは、ここ3、4年ぐらいかなと思うのですが、私たちロック・フィールドでは、以前からサステナビリティに深い関心を持ってきました。例えば、2005年には既にベジテリアで「Sustainable Days. 地球にいいこと、カラダにいいこと、続けていこう。」というフレーズを発信しています。また環境への取り組みに関しても、30年以上前から当社の最重要課題として取り組んでいます。

実は、30年以上前に、環境への取り組みを意識する大きなきっかけとなる出来事がありました。1988年に、神戸ファクトリーで排水処理設備にたまっていた汚水を誤って運河に流してしまいました。この水質汚濁事件で準備していた株式上場も白紙になってしまい、創業者の岩田弘三は、企業の社会的責任として、地域社会の中で法律を遵守し、環境を守り、信頼を得ることの大切さを痛感したと言います。この出来事が教訓となり、のちに価値観として環境を掲げることにつながりました。

1991年、首都圏への店舗拡大に伴い、「人にやさしく、自然にやさしく、地球にやさしく」というコンセプトのもと静岡に新しいファクトリーを建てました。2000年にはビオトープや風力発電設備を新設し、野菜の処理水をそのまま河川などに戻すのではなく、ビオトープで自然に近い状態に戻したり、敷地内の緑化を進めて、周辺環境と調和する工場を目指しました。2020年には太陽光パネルも設置し、再生可能エネルギー設備の増強をはかりました。

静岡ファクトリー

当社のファクトリーは3拠点すべて、岩田と親交があった建築家・安藤忠雄氏による設計・デザインです。神戸ヘッドオフィス・ファクトリーは、「もったいないから、残す」をコンセプトに百貨店の物流センターだった建物を2004年にリノベーションしました。外構も整備し、自然と調和した空間づくりをするとともに、静岡と神戸には、オフィスやファクトリーで働く従業員のために企業内保育室も設置しています。

神戸ヘッドオフィス・ファクトリー

こうした「環境にやさしいファクトリーで惣菜をつくる」背景には、6つの価値観「健康」「安心・安全」「美味しさ」「鮮度」「サービス」「環境」があります。ロック・フィールドが掲げる企業理念は「私たちは、SOZAIへの情熱と、自ら変革する行動力をもって豊かなライフスタイルの創造に貢献します」です。

現在、ロック・フィールドでは、「ビジョン2030」として、「食の可能性を切り拓き、豊かな未来を共創する。SUSTAINABLE FOOD COMPANY」を掲げています。お客様、取引先の皆様、従業員と一体となり、持続可能な食で、人と地球の未来をつくっていくことを宣言したものです。「ビジョン2030」は、創業50周年を迎えた2022年に策定しました。

「ビジョン2030」では、実現のための5つの約束を掲げています。「多様な食文化を、次世代へつないでいきます」「場を、時間を、心を、自由にする“新しい惣菜”を提案します」「心と体の健康づくりに貢献します」「環境に配慮した取り組みを強化します」「仲間のチャレンジを奨励し、個人と会社が共に成長できる風土をつくります」の5つです。
会社全体としてSDGsの課題に中長期的に取り組む必要があるとの考えから、2021年度に部門横断チームを発足させ、2022年度からは、「ビジョン2030」の実現に向けた重要な取り組みと位置づけ、ESGに関わる各主管部門が関連部門と連携しながら、代表取締役社長を責任者とし、サステナビリティ推進室が事務局を務める体制で推進しています。

「美味しさ」の追求と持続可能な原材料の調達

ここでは、当社が最も注力している取り組みの一つ、「サステナブルフードシステム(サプライチェーン)」について紹介させていただきます。

もともとロック・フィールドは、創業者の岩田がレストランを営んでいたことが始まりです。岩田が1970年頃にヨーロッパにレストランの視察に行った際に、フランスのFAUCHON(フォション)やイタリアのPECK(ペック)などでデリカテッセンに出会い、その豊かな食文化に膝がガクガクと震えるほどの感動をおぼえました。日本の生活にも、こうした持ち帰り惣菜(デリカテッセン)を根付かせたいという想いで起業を決意します。

ロック・フィールドには、こうした背景から「本物志向」、「本物の味」を提供しようという考え方が根源にあり、丁寧なものづくりや、原材料の調達を非常に重要視しています。

「サステナブルフードシステム」は、原材料の調達からお客様の食卓までをつなぐ、当社の生販一体のビジネスモデルを活かし、人と地球と自然にやさしい持続可能なサプライチェーンに進化させていこうというものです。具体的には、生産者の方から希少性の高い野菜など価値ある原材料として調達し、付加価値を加えて商品化するとともに、お客様に単に商品を提供するのではなく、季節に合わせた旬の食材や日本の食文化を発信していく、そんな役割を担うことを目指しています。

「サステナブルフードシステム」を構築するためには、三つの観点からのサステナビリティが重要と考えています。まず前提となるのは、地球環境に配慮して作られた原材料です。二つ目が生産者の方が安定的・継続的に経営できる仕組みです。三つ目が当社の事業の持続性です。この三つがなければ持続可能な原材料の調達ができないと考えています。

当社では、先ほどお話ししましたように、「本物の味を提供しよう」「豊かな食文化を発信しよう」という考え方から、希少性の高い野菜や伝統野菜、市場にはあまり出回らない野菜など、価値ある原材料の調達を行なっていますので、とりわけ二つ目の生産者が安定的・継続的に経営できる仕組みづくりに力を入れています。

その取り組みの一つが契約栽培の拡大です。当社の理念・価値観を共有していただける全国各地の産地や生産者の方々に契約栽培をお願いしています。契約栽培によって、生産者はあらかじめ出荷量を見込めるため、市場価格の変動に左右されることなく、より良い野菜の栽培に集中することができます。

例えば、当社がサラダ用に使用している北海道・北見地方の伝統的な在来種「北見黄」という玉ねぎがあります。幻の玉ねぎと言われ、一時は生産量が減少し流通しなくなっていましたが、「食べて美味しいものを残したい」との一念で「北見黄」を作り続けた生産者の方がいたことで、当社との出会いがあり、2004年から納品していただいています。

また、神戸コロッケの原材料となっている「男爵いも」も、その一つです。1990年、コロッケに適している「男爵いも」を全国各地に探し求めて、北海道北見市端野町の「男爵いも」に辿り着きました。デンプン価が高く、ホクホクした食感はまさに当社が求めていたものでした。端野町の生産者が、日本の農業の未来をしっかり見据え、良い作物を育てたいという熱心な思いを持っていたことが取引の大きなきっかけでした。

ただ、8~9月頃に収穫した「男爵いも」は、倉庫に保管しているだけでは発芽してしまうため、5月上旬頃までしか流通できませんでした。当社では、産地の方々との試行錯誤の末、「雪中備蓄」という貯蔵方法を完成させることで、年間調達をすることができるようになりました。

雪中備蓄

当社の購買担当者は、「サステナブルフードシステム」を構築するために、定期的に生産者のもとを訪れコミュニケーションをとることで信頼関係を築き、安心・安全で品質の良い野菜の調達に取り組んでいます。また「本物の味を提供する」「日本の食文化を発信する」ために新規産地の開拓にも力を入れています。

お客様の協力とともに進めるサステナビリティ

冒頭でもお話しさせていただいたように、環境問題に関しては、さまざまな取り組みを行っています。現在、「環境」に関する達成目標としては、2018年度を基準に、2030年までに「温室効果ガス排出量」の30%削減、「食品ロス」の50%削減、「ファクトリー食品残渣発生量」の30%削減、「化石燃料由来のプラスチック使用量」の50%削減を目指しています。

各ファクトリーでは温室効果ガス排出低減のために、再生可能エネルギーの活用や氷蓄熱システムの活用、エネルギーの脱炭素化への取り組みを行っています。また廃棄物の削減でも、廃棄物を12項目に細分化し徹底的に分別することによって、再資源化を促進。3Rに取り組み、ゼロエミッションを達成しています。

各店舗では、化石燃料由来のプラスチック使用量やCO₂排出量の削減を目指し、2030年を目途に店舗で使用するすべての包装材を植物由来や認証済みの環境配慮素材への切り替えを予定しています。

その一つの取り組みがLIMEX(ライメックス)を使用した惣菜容器や商品包装材の採用です。LIMEXは石灰石を主原料とした素材で、2022年6月より、テイクアウト用惣菜容器にLIMEXを使用した容器に順次切り替えています。同様に、商品の包装袋にも使用しています。

店舗で使用するプラスチック製レジ袋は、植物由来の原料を30%配合したバイオマスプラスチック製を使用しています。2022年7月のレジ袋有料化に伴う辞退率は約80%と、お客様のご協力もあり年間約81tのプラスチック削減につながっています。

2024年4月からは、お客様にご持参いただいた容器で商品を提供する「マイ容器利用サービス」も、一部店舗で開始しました。これまでどおり「環境に配慮された容器でお買い物ができる」ことに加えて、「使い捨ての容器を使わずにリユース容器を利用してごみを減らしたい」というお客様とともに、もう一歩踏み込んだ取り組みを進めています。

今後は、ロック・フィールドの理念や価値観に共感するお客様へのコミュニケーションを強化するとともに、お客様の協力も仰ぎながら、サステナブルで豊かなライフスタイルの創造に貢献していきたいと思います。

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今回は、ロック・フィールドさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介させていただきました。次回からも引き続き、パートナーさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介し、「サステナブルの輪」を広げていきたいと思います。

次回の配信もお楽しみに。

編集・著作:ヤマト運輸株式会社

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