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【倒産までのカウントダウン〜すべてはXデーに向かっていた!】

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スーパーが「倒産」に至るまでの過程を赤裸々に綴ります。
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2022年11月の記事一覧

【商店街との仁義なき戦い】

「社長助けてください!郊外にショッピングモールが開店したおかげで、商店街のスーパーが撤退してお客さんが来ないんです💧」 商店街の若い経営者たちが署名まで集めて私に懇願してきた。 商店街で育った私もなんとかしようと、変な男気から補助金まで辞退してその空き店舗へ出店した。買い物の足を持たない高齢者たちは喜び、商店街にも再び賑わいが戻ったo(^▽^)o →ここで終われば最高にいい話だが…。 意地でも街を活性化しようとして、お祭り・ライブ,トークショー・映画祭を開催、チラシの裏面

【私がライバル店に嫌われた理由】

スーパーやまとの店舗の多くは、県内最大手企業の店舗と競合していた。 私は人の嫌がることはしない。但し、商売上のライバルとなれば話は別だ。 「やられたらやり返す」こちらからは手を出さない。 この大手スーパーはどうもウチの店(私)のことが気に入らないらしい。 「一緒になって山梨を牛耳ろう!」という買収の誘いに対し、 「もう少し待ってください、ウチがオタクを買いに行きますから!」と 年商10倍、年は70才超えの会長に向かって、30代の私が啖呵を切って断ってからのことだ。 **

【倒産後記③ キジも鳴かずば撃たれまい…】

時代を先取りしてレジ袋有料化や家庭生ゴミの堆肥化、ホームレスの正社員採用、大手に潰されたスーパーの敵討ちで居抜き出店。社長は業界で一番若く、おまけに山梨県の教育委員長。 田舎のメディアは頻繁に取り上げ、知名度と好感度は日毎にアップしていった。 「他のスーパーは何もしない、俺に続いてみろ!」とばかりに競合他社を悪役に仕立て、拳を上げる私を競合他社が黙って放置しておく訳がない。 影に日向に私への攻撃は加速していく。 ❌あそこは取引先がどんどん撤退してヤバいらしいぞ?  →

【倒産後記④ 自宅に取り立て⁉️】

競合店の出店や、大型ショッピングモールに対抗する地元スーパーの反撃攻勢の二次的影響から、事業承継時以来の赤字に転じたスーパーやまと。 取引業者からのプレッシャーが日ごとにエスカレートしていった。 「お父さん、玄関に変な人が2人来てるよ!」娘が驚いている! 夜9時過ぎ、夕食も済んでホッとしている我が家に、50代くらいのイカついた男性が2人訪ねて来た。聞けば大手の製パンメーカー(営業所社員)だった。 男① 「明日おたくのスーパーが潰れるとの情報が入りました。今すぐ売掛金を払

【バンクミーティング〜経営改善計画と会計士】

業績の悪い会社は銀行への返済がキツくなってくるため、元本返済を猶予(リスケ)してもらうために、全取引行を集めてお願いをする。 いわゆるバンクミーティング(BM)と呼ばれ.ここで承認されると返済猶予が叶い、業績回復までの時間を得ることになる。 別に珍しいことでもないし、企業再生の第一歩でもある。 この段階になると金融機関の担当が本部に移管され、BMで承認を得るための「経営改善計画」も絵に描いた餅では通らない。 そのため「認定支援機関」の指導が必要となる。 いろんな経過を経て

【メイン問屋からの非情な要求】

再び赤字に陥ったスーパーやまとは、資金繰りが悪化し、月々の返済にも窮するようになってきた。金融機関へのリスケ(返済の猶予)を取り付けた後も運転資金は常にひっ迫する。 そこで私が代替わりの時に仲人である問屋との取引を止めて、一気に仕入れを移管したメイン問屋に支払いの繰り延べをお願いした。 相手の問屋も当時のいきさつを恩義に感じてくれていて、私の無理なお願いも二つ返事で受け入れてくれた。 「やまとさんが困っているなら、ウチは全面的に協力します。だから頑張って業績を改善してく

【実録:私の倒産物語 ① Xデー『前日』】

2017年12月5日、そろそろ年末商戦に向けて社内も活気づく頃。おせち商品やよく売れる酒類の発注も済ませた。 4年間の赤字も、金融機関のリスケ(元本返済の猶予)のおかげで黒字に転換することができた(^^ゞ  私も従業員も必死に頑張った結果だ(^^)/ その反面、支払い遅延に協力してもらったメインの大手問屋は、親会社からの出向社長に代わってから急に、手のひらを返したように対応が厳しくなった。 「金を払わないと納品を止めるぞ!」 「今までの恩義など俺には関係ない!」 「

【実録:私の倒産物語 ② Xデー『当日』】

2017年12月6日朝、寝ぼけ眼の私は取引先の社長からの電話に起こされた。 「社長、今市場で『今日スーパーやまとが倒産する』という話で持ち切りだよ!本当なの?」 とんでもない!これから年末商戦となり売り上げも利益も増える。 来週以降のチラシも既に印刷済みだ。忘年会や新年会を前に、店を閉める飲食店があるか? 私は、自信を持ってその噂を否定した。 嫌な雰囲気とともに、いつも通り出社した私に店長から電話が入る。 「社長、今朝納品予定の酒が納品されません!問い合わせたらシス

【実録:私の倒産物語 ③ Xデー『翌日』】

2017年12月7日倒産翌日、今日から自分は倒産社長として、ご迷惑を掛けた人たちに対する贖罪を一生背負っていかねばならない。 「私は絶対に逃げない!」などと決断するのは容易いが、それを実行に移すことはとても難しい。 覚悟を決めていつもと同じ場所(会社)へ向かう…。違うのは非常事態を想定して家族が避難した妻の実家(同じ市内)からの道程であること。 まだ、電気も水道も新聞も普段通り通っている。 朝刊一面に倒産の記事が大きく書かれていた。 ローカルスーパーの破綻など珍しく