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時間よ止まれど金縛り

矢沢永吉の代表曲で一番好きな曲ではあるが、元来かっこしいは嫌いなのでキャロル時代の「ファンキー・モンキー・ベイビー」ぐらいしか知らなかったのが、「時間よ止まれ」にはノックアウトされた。今聴いても凄いの一言なのだが、特に「時間よ止まれ」と願ったわけでもないし不思議な体験をしたのは曲のリリースよりかなり前なのでその奇跡は曲に影響されていない。むしろその不思議が曲に強烈な印象を無意識に与えたのかもしれない。

国道沿いの二階の部屋」で生家は裏の工場に隠れて大阪の電波が遮られ、NHKと徳島ローカルで日本テレビ系列の四国放送しかチャンネル選択が無かったと書いた。小学生の頃は「巨人の星」さえ見えれば特に困らなかった。この状況なら普通巨人ファンになるが、親父に一番近い球団はどこかを質問して同じ阪神ファンになったのはけっこう天邪鬼である。

野球はするのも大好きで毎日のようにコンクリート壁相手にキャッチボールするものだから、見栄えが悪いので後で正式に作り直したが、親父はガラス窓が割れないように急遽ベニヤ板の雨戸を作ってくれた。野球王国と言われた四国ではスポーツ少年はみんな野球チームに入る。人口80万程度なのに徳島県なのに夏休みには100チーム以上が集まって県大会が開かれていた。

キャッチボールの成果もあったのか球速はないが制球力よくカーブも投げれたので2番手ピッチャーに抜擢されたしエース登板時はショートを守った。その野球経験から星飛雄馬の大リーグボールを捕球するしか役割が無かった伴宙太が一念発起し打者として成長していく過程でピッチャーが投げた瞬間に球種や球筋を長セリフで喋りながらバットを振っていたのは疑問だった。

もちろんセリフは脳内独り言なので瞬間的に駆け巡られるのかもしれない。しかしそんなに考えられるなら誰も落ちるフォークボールを空振りしないと思うほどに長く球種と球筋を解説している。しかし人間信じていると奇跡は起きると何かで読んで信じてみようと考えたのが功を奏したのか、中学では卓球部を選んだあとの高校のソフトボール部の練習試合で奇跡は起きた。

野球に比べれば球速は出ないが、距離が近いので実感覚では野球より速い。おまけにボールが大きい分大きく曲がるし、球種にライズボールがある通り本当に浮き上がるので、いいピッチャーになると三振の山を築かれる。したがって弱小高校でも絶対エースがいれば点を取られないので徳島県で優勝してインターハイに出た。その卒業した先輩投手と対戦した時のことである。

直球は早くてバットに当たらない。2ストライク後早く振り出してばっちりタイミングが合った瞬間にボールが止まって見えた。このまま確実にヒットできると思ったらボールが曲がっていく。ゆっくり動くのでバットの軌道を修正すべく力を入れたが腕は金縛りのように動かない。諦めて先輩の顔を見た瞬間バットは空を切って一閃した。目は素早く動くが筋肉は違うようだ。

#思い出の曲

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