広告費0円で掲載1500以上獲得の秘訣
ブランドが立ち上がる時に大事な事は売上よりも認知No,1をとる事
2014年12月にBean to Barスタイルでカカオ豆からチョコレートの製造販売を行うMinimal - Bean to Bar Chocolate - (ミニマル)を設立し、現在5店舗(2工房)を都内に展開しています。
まだまだ成功と言える状況には程遠いですが、ここまでやってこられた要因の一つに特に設立から3年間の広報戦略があげられると思います。
実は3年間で広告費はかけたことはなく、広告費は0円です。
ありがたい事に広告費0円で3年間で1500媒体以上に掲載頂く事ができました。
一番大きな要因は世の中にカカオ豆からチョコレートをつくるBean to Barブームがきたことです(笑)つまり運の要素が大きいという事です。
ただ、その流れにのらしてもらったことに加えて、お金ではなく知恵を使ってPR広報を行い、先駆者としての認知をとれたことの成果もあると思います。
今回はそんな広報戦略をMinimalというケーススタディを通してお伝えしたいと思います。
立ち上げから約5年間経ってはっきりと実感することは、立ち上がったブランドはその市場において何より目指すべきは、認知No,1となる事。
それは実は短期的な売上をとる事より大事であると思います。認知No,1をとってしまえば、売上は後からついてくるはずです。
認知No,1をとって市場において先駆的なポジションを確立するための5つのポイントを、資本も人も潤沢にない状況で立ち上がった私達のケースでお伝えする事で、立ち上げたばかりのブランドの皆さんに少しでもお役に立てれば嬉しいです。
1、セールスターゲットとブランドターゲット
Minimalの特徴として男性客が多いという事は上げられます。
ショコラトリーやパティスリーは女性客が多いのが一般的です。多くは9割以上が女性客と言われている中で、Minimalでは男性客が4割強を占めております。
これはブランドを始めた時から意図的な戦略でした。
私たちはターゲットを豊かな食体験をのぞむオシャレ層・嗜好品好きの30代~40代の男女に設定しました。
その中でセールスターゲットは女性、ブランディングターゲットは男性と明確に戦略を分けて考えました。
具体的にどういう事かというと香りや味といったチョコレート風味はセールスターゲットである女性を中心に考えます。
一方で、店舗やパッケージなどデザインはブランディングターゲットである男性を中心に考えたのです。
あくまでターゲットは男女なので、セールスにおいてもブランディングにおいても中心軸をそれぞれに置きながら、もう一方の要素も入れてバランスをとります。
ここでのポイントはブランディングターゲットの中心を男性と置いた事です。
少し補足すると、僕たちがターゲット像としてよく言っていたのは「帽子・ひげ・メガネ・Tシャツ・短パン」なおしゃれ男子(笑)
まさに1店舗目出店地の富ヶ谷に歩いている人たち。
ワイン、クラフトビール、スペシャルティコーヒーとこだわりがあり、オシャレな男性が好きなクラフトな飲み物が世の中で流行っている中で、Bean to Chocolateやクラフトチョコレートの流れは確実にそのファン層を獲得できるはずと考えました。
ターゲット層に対して、「モノづくりを丁寧に行うクラフトチョコレート」というメッセージを訴求しました。この戦略は見事にはまり、従来チョコレートに少ない男性ファンの取り込みに成功しました。もちろんセールスターゲットである女性も味でファンとして取り込みながら。
ブランディングターゲットを男性に設定したことは広報戦略において大きな効果を発揮しました。
男性ファンの取り込みにより、他のBean to Bar Chocolateブランドや高級チョコレートブランドと自動的に差別化ができていました。
男性ファンが多い事が口コミで伝わり、そのこと自体で東洋経済さんから以下のような取材も受けました。
ブランドにおけるターゲットとメッセージを明確に差別化して設定する事で特徴が明確になり、業界標準とは違う事はポジティブな意味で取り上げて頂くことがつながりました。
2、ポジショニングマップを用意する
※出典:17年4月25日発売Forbes Japan掲載記事
スタートアップや立ち上がったばかりのブランドにおいて広告費を捻出することが難しい場面は多いと思います。
Minimalはモノづくりに括っているブランドです。
OEMでどこかの工場に委託するのでなく、自分たちでチョコレートをゼロから造る事に括っていたので、投資の優先順位はプロダクトのクオリティーを高める事と商品をお客さんに届けるためのサービスと店舗でした。
モノづくりの設備投資、店舗投資、人への投資に精一杯で広告費にまでお金がありませんでした。それは今も同じかもしれません笑
そのため広告ではなく認知を高めるためには取材による露出をしか方法がありませんでした。
僕らがやったことは、メディアを大きな属性で切って、それぞれの媒体に興味を持ってもらえる切り口で、自社ブランドのストーリーやその全体図を示したポジショニングマップを用意しました。
一例をあげると、チョコレート業界の中で取り上げてもらうためには以下のようなポジショニングマップを用意しました。
縦軸にモノ消費とコト消費、横軸に日常消費と非日常消費とおいて、チョコレート業界には低価格のお菓子と高級品しかなかったところにMinimalは第3極として新しい潮流として出てきていることを伝えます。
このポジションマップで言えば、当時良く言われていた「モノ消費からコト消費という流れがチョコレート業界でも起こっています。コト消費の新しいブランドがMinimalです」と言った切り口で伝えるのです。
そうするとMinimal一社単体で伝えるよりも業界全体を比較しながら理解してもらえます。取り上げてもらえる確率が格段に上がると思います。
この編集軸はあくまで恣意的なもので絶対正しいというものではないと思います。それをいかに伝えた相手の方に納得頂けるかにかかっています。
特に無名なブランドは業界全体の中で自分たちの立ち位置をしっかりと際立たせて他のブランドと比較して一緒に取り上げてもらう方が単体で取り上げてもらうよりも難易度が下がります。
そこにお金ではなく知恵を使う事が重要です。
3、メディア特性に応じた切り口やストーリーを提供する
※出典:15年11月13日ワールドビジネスサテライト
ありがたい事にMinimalはチョコレート特集だけでなく、食はもちろん、ファッション、ライフスタイル、ビジネスなど多岐なジャンルのメディアに取り上げて頂く事ができています。
このことで従来のチョコレートファンだけなく、いろいろな属性の方に知って頂き認知を獲得する事ができました。
そのためにやったことはメディアを大きな属性で切って、それぞれの媒体に興味を持ってもらえる切り口を用意する事です。
例1
デザイン文脈であればGood Design賞ベスト100、さらにはその中から特別賞「ものづくり」を受賞したことをきっかけにデザインの考え方や方針といった切り口で取り上げて頂けました。
例2
ビジネス文脈であれば私の個人のキャリアにフォーカスすると、「ビジネス世界から素人で脱サラしてチョコレート業界に飛び込んだ」という文脈で多く取り上げて頂きました。
例3
イノベーション文脈であればカカオ産地との関係で捉え、カカオ豆のフェアトレードというソーシャルイノベーション文脈を訴求できます。Wired Audi Innovation Awards 2017で表彰と取り上げて頂けました。
ブランドは多くの独自物語を内包しています。その物語を丁寧にメディアの特性ごとに伝える努力をする事で取り上げて頂く機会を増やしていく事をできます。
そうする事でジャンルを横断してブランドを取り上げて頂く機会を獲得することができます。
結果として、チョコレートという切り口に留まらず、食、ファッション、ライフスタイル、デザイン、イノベーション、ソーシャル、ビジネスと幅広いジャンルにMinimalが露出することができ、食のスタートアップとしての認知を多面的に獲得する事ができました。
自分たちがもっている物語やストーリーをどの切り口で光を当てて切り取れば興味を持ってもらえるかを考え抜くことが重要です。
4、すべての取材に準備と誠意をもって対応する
ポジショニングマップや切り口をメディアの特性ごとに用意する事と言った戦略的な側面と同時に大事な事があります。
至極当たり前の事で恐縮ですが、それはどんなに内容や数行だけの小さな取り上げの取材でも最大限の準備と誠意をもって対応する事です。
取材で来たもらった方々に取材してもらう機会はMinimalへの理解者やファン創りのチャンスと捉えて常に全力投球です。
取材をして頂く際は事前に調べてどんな切り口で伝えれば取り上げる側にとって有益か、そのメディアの読者はどんなことを求めているかを考えて準備する事はもちろん、来て頂いたら必ずチョコレートを食べてもらい、製法や素材などのこだわりをきちんと伝えることを徹底しています。
また、取材当日に記者さんとお話をしながら、その方の得意分野や興味分野をお聞きする中で直接今回の取材と関係ない内容でも時間の許す限り答え、ディスカッションや情報提供と学べることを学ぶようにしています。
そうする事で取材を通して一人でもMinimalのファンを増やすことができれば嬉しいですし、プロの方に幅広い情報提供をしておくと、また別の取材の時に声をかけて頂くことができます。
そうした一つ一つ機会ヘ対応を地道にすること戦略と同等か、それ以上に大事であると思います。
5、ブランドのコアを研ぎ澄ます事でコンテンツを無限に作り出す
Minimalはブランドローンチ当初からここまでお伝えしたポイントを徹底する事で露出を増やす事ができ、広告費を全く使う事なく、3年間で1500以上の掲載をして頂きました。(何度も書きますが、Bean to Bar ブームがきたという運の要素もかなり大きかったのですがww)
文脈のある露出が増えたおかげで、クラフトチョコレートやBean to Bar Chocolate業界内で先駆者的なポジションとチョコレートブランドとして認知を獲得することができました。その認知が取れている事が勘違いであれば恥ずかしいのですが、こちら側から提示することなく先駆者という言葉を使って取り上げて頂く記事が増えました。
冒頭にお伝えした通り、それはもちろん運も大きかったですが。
上記のポイントを愚直に繰り返した結果ではないかと思います。そして、ここまで述べてきたことは割とどこのブランドでもできる再現性のある戦略や取り組みでないかと思います。
最後に認知を獲得する際にもっとも大事だと思う事をお伝えして終わりにしたいと思います。
認知獲得をする上で露出を増やすにためには話題作りが大事ですが、もっと大事な事は話題となるコンテンツのつくり方だと思います。
私自身多くブランドさんからその話題=コンテンツがなかなかなくて困っているという相談を受けることがあるのですが、表面的でその場限りの話題作りに終始してその結果としてコンテンツに枯渇しているケースが多いと感じます。
表面的な話題造りや流行に乗る事は時として大事ですが、間違えていけない事は、ブランドとしてコアを外す露出は結果としてブランドの求心力を無くすという事を自覚しなければならないという事です。
もしコンテンツに枯渇している状況があるとするとそれはブランドのコアを磨く努力を怠っているかもしれない黄色信号です。
ブランドとしてどこに括っているのか、そしてそれを研ぎ澄ます努力をし続ける事でコンテンツは無限にあるはずですし、更新されていくはずです。
Minimalで言えば「チョコレートを新しくする」というビジョンであり、そのために、
「カカオ農家との関係を新しくする」
「製法や風味を新しくすることで世の中にない新しいプロダクトを届ける」
「ブランドとプロダクトを取り巻く新しいチョコレート体験を提供する」
という3つのポイントを徹底的に磨き続ける。
そうすればコンテンツに枯渇することはないはずなのです。
ありがたいことにブランドローンチからもうすぐ5年間経ちますが、チョコレートの露出が落ちる夏場でも継続的に各メディアに取り上げて頂いております。
もちろん持ちうるコンテンツを切り口を変えて価値ある情報となるように届ける努力をし続けているのは大前提として。
これからも表面的なテクニックや流行に左右される事なくMinimalのコアを磨き続け、世の中に価値ある情報提供やプロダクト提供ができるように精進していきたいと思います。
そして、取り上げるに足るブランドだとメディアの方々に思って頂き、認知を高めていきたいと思います。
※Minimal商品のおすすめ
このnoteをきっかけにぜひMinialの商品を知って頂ければ幸いです。特に個人的なおすすめは、Minimalが造った板チョコレートが毎月3枚届くサブスクリプションである新サービス「カカオツアー(送料無料)」です。ぜひこちらから!
会社をネタに書かせてもらってるので僕個人としてコンバージョン目標はここだ!と思ってます笑 ぜひ見るだけでも^_^
Twitterでブランドの情報やブランド経営でのリアルな葛藤や学びをつぶやいていますのでぜひフォローください!
Minimal自身のTwitterもぜひフォローください。
もちろんnoteもぜひフォロー頂けると嬉しいです!これからもブランド経営のリアルな学びをお届けしていきます。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。このnoteは私がブランド経営やモノづくりを行う中で悩み失敗した中からのリアルな学びです。何かお役に立てたら嬉しいです。良い気づきや学びがあれば投げ銭的にサポートして頂ければ喜びます、全てMinimalの活動に使いたいと思います^_^