withコロナ時代の商品開発考①
生き残るのは、変化できる者。
新型コロナウィルス禍により、緊急事態宣言発令し生活が一変しました。Minimalも店舗休業やイートインの休止、多くの卸先が休業などこれまでの当たり前が一変しています。これまで通りの企業経営が成り立たないのは明確です。この変化にどう対応するかが生き残るポイントとなります。前職時代からよく言われて肝に銘じているダーウィンの言葉が身に染みます。
『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である』 byチャールズ・ダーウィン
今回の一連の流れは世界全体で前提が変化するという事だと思います。
その中でこの変化をどのようにとらえて、どれだけスピード感をもって、どれだけ網の目きめ細やかに対応できるかが今後の生き残りに影響を与えると思います。
色々な対応事例がある中で、私が特に素晴らしいと思っている事例は、ホテルプロデューサー龍崎さん達の「ホテルシェルター」の事例です。
「ホテルシェルター」は感染リスクがある業務に従事し家族がいる自宅に帰りづらい人と、宿泊客が減ってるホテルをマッチングするプラットフォーム
まず大前提として、ホテルは観光業としてはこの状況では壊滅的です。その状況を真正面から捉えて、次に動き出しているスピードとそのメンタリティに心から勇気を頂きました。
素晴らしい点はたくさんありますが、コロナ禍の社会状況変化をとらえて、私は以下2点の視点が特に素晴らしいと思いました。
1点目はホテルの価値を場所として抽象化し、観光業ではなく不動産業としてとらえているところ。
2点目は一社でなんとかするのではなく、みんなで利益をだそうとしているところです。
この2点を実装し、サービスローンチまでこのスピード感で行っている事は心からリスペクトと驚嘆せざる得ないです。全業界が見習うべき好事例だと思います。諸々リスクヘッジなど大変であると思いますが、私個人は心から応援したいと思います。詳細は以下の記事をぜひ読んでみてください。
チョコレートを通して私達ができることは幸せな瞬間を増やす事
私がチョコレートブランドを始めて当たり前な事ですが、改めて確信したことがあります。
チョコレートは食べる人を幸せな気持ちにするものだという事です。
特にMinimalのチョコレートは食べている人と一緒に食べる人のコミュニケーションを誘発するように考えてるので、幸せの輪を広げていく事ができます。
この状況で私達にできる事は、チョコレートやお菓子を届け続け、この幸せな瞬間を最大化する事だと思いました。この状況で皆が変化に対して色々考えたり、変化に少なからずストレスを感じながら動いている中で、ある意味で何も考えずに楽しむ時間を提供できる事はチョコレートやお菓子が持つ大きな力だと思います。
Minimalの提供価値は「チョコレートとお菓子を届け続ける事」。そのために私達自身が大変な状況ですが、大事な事は「生き残る事」だと。
私自身は経営者としてくだらないプライドはすべて捨てて、亀のように身を縮めて、ゴキブリのようにしぶとく地べたを這いずり回っても生産者と社員を守り一緒になって、お客様にチョコレートを届け続けるという事を改めて決心しました。そこから経営リソース配分や戦略を見直し、今までのバイアスを捨てて変化にゼロベースに対応する事を始めました。
3月4月はEC販売に全振りして、ありがたい事に昨対ベースで400%近くとなっています。製造体制もそれに合わせてすべて切り替えて、この時期ですができる限りコストを削減した形で工房の拡張とレイアウトをEC対応に変えました。
職人チームと販売チームにもマインドセットと、役割変更を命じて全社員が一丸となってこの状況に向き合っています。社員と全てのスタッフに感謝です。
そして、同時にwithコロナ時代に合わせた商品開発を走らせました。
withコロナの商品開発
コロナウィルスの蔓延により物理的な空間への制約条件が強くなりました。つまりは多くのモノがWeb空間に置き換わっていくという事です。
このWebに置き換わっていくという事はとても単純な事にみえますが、とても難しい事であると思いました。
まず競争環境が激化するという事です。この状況下で競合のすべてがWebに置き換わります。つまりこれまでの変化には限定的あった競合相手が世の中のすべてになるという事です。
この状況下で価値の一つはまずはスピードです。誰よりも早くその状況に対応する。先行者としてポジションが取れればこれは大きな優位性になります。まずやってみる事はとても大事です。ただ、これだけでは本当の先行者以外はやがて後発が入り乱れた際には価値を失います。もしかしたら先行者すらそれだけで生き残る事は難しいかもしれません。
その時に考えなければならない事は、Webをあくまで一つに機能としてとらえて提供価値全体を設計する事です。
変化が起きたての時は、まずは何でもWebに置き換えてみるというスピードが大事ですが、今回のように社会全体の変化ではすべて企業が同じようにWebで置き換えます。世の中に類似商品やサービスが溢れかえる状況が起こります。
その中で勝っていくための商品開発、
つまりはwithコロナ時代の商品開発の肝は、提供価値の要素分解であると思います。
特にMinimalは圧倒的にリアル店舗が強いブランドです。お客様に提供していたのは美味しいチョコレートでありますが、そのチョコレートを取り巻く体験を付加価値として感じて頂いていると思います。その時に単にWebで商品を売れば店舗と同じように売れるだろうと思うとそうではないという事が起こります。店舗での購買体験を例にとり説明します。
店舗でチョコレートを購買頂く際に、チョコレートが美味しいやパッケージがおしゃれなどわかりやすく商品に紐づく価値はもちろんですが、それ以外の要素が購買の意思決定に影響を与えているはずです。
例えば、
・店内に入った瞬間のスタッフの明るい声がけや笑顔
・店内に入った瞬間に焙煎している香ばしいチョコレート香がしている
・工房で職人が真剣に造っている姿が目に入る
・店内が混んでいる。また他のお客様が楽しそうにおしゃべりしている
・店舗全体やスタッフの雰囲気がいい
・スタッフとの何気ない会話や商品の補足説明が響く
など、書き出すときりがないくらい目に見えない要素で、しかも購買者自身も無自覚に影響を与えている可能性がある要素があるのです。
五感にフルに影響を及ぼすという事で物理空間での購買はやはりWebでの購買に比べて圧倒的に情報量が多いのです。
もちろん、Web販売を科学してきたこれまでの既存の歴史中でコンバージョン率を上げるために多くの試行錯誤がされてきています。その知見を活用することは大前提ですが、リアルからWebに置き換えていかざる得ない状況下で、それに加えてこれまで自社の商品がどのような価値を提供してきたかを要素分解して整理しなければなりません。
実はWebに置き換えるという事象においてはその要素分解の網の目がとても粗いものが多いように感じています。
withコロナ時代の商品開発は自社の商品価値を細やかに要素分解した上で、Webを使う事を目的とせず、あくまでWebもその価値提供を実現する一つの機能や手段として考える事が大事であると思います。
Webファンミーティング付き特別なTasting Set 。皆で一緒に食べるという価値。
5月1日に新しい商品を販売しました。JICAのODA調査案件で訪問したカカオ最古の地のひとつであるニカラグアで100以上の農園を巡った中から厳選したカカオ豆3種でつくった香り豊かなチョコレートセットです。
商品名;Tasting Set -2020 NICARAGUA limited edition-」
300セット限定の本セットの今回の特徴はWebファンミーティングが付いているという事です。
買って頂いた方をWeb上のイベントに招待して、改めてプロジェクト説明や今回選んだ地域や生産者の事を伝えながら、皆で一緒にチョコレートを食べ比べるというイベントが購入者特典としてついています。
JICAのODA調査案件
2019年4月〜2020年3月の期間、JICA(独立行政法人国際協力機構)からODA(政府開発援助)の案件化調査を採択し、ニカラグアでプロジェクトを行ってきました。カカオ生産者と協働し、良質なカカオ豆を生産しそれらをフェアトレード価格にて仕入れ、カカオ生産者収入向上とニカラグア国のカカオ産業の活性化に貢献することを目的にしたプロジェクト。
プロジェクトを通して現状調査を重点的に行い、ニカラグア全土のカカオ農家や生産者組合を訪問し、栽培、生産処理場などを確認しチョコレートを評価しました。まさにニカラグア国カカオマップ作りともいえるプロジェクトでした。
実はプロジェクト期間中の2019年中に3度もお客さんと一緒にリアルなイベントを行いプロジェクトの進捗を報告して分かち合っています。その様子は以下のnoteを参照ください。
プロジェクトで渡航するたびにプロジェクトメンバーがお客さんに報告をして進捗を共有してきたのです。これを踏まえて、この商品を開発する際の提供価値を要素分解すると
①Minimalチョコレートの価値は、
「チョコレート美味しさ」+「食べ比べ」+「商品の説明」
②プロジェクトの価値は、
「プロジェクトストーリー」+「熱をもった関わった当事者(Minimalスタッフ+生産者)の想い」
③実施していたイベントの価値は、
「皆で一緒に食べる時間を共有して感情を分かち合う」
という事に分解できます。
単にWebでTasting Set を発売するだけでなく、これまで応援して頂いているファンの方の心理も踏まえて、リアルイベントができない今、どのようにWebを一手段として組み合わせて実現するかということを考える必要があるのです。
私なりのその答えがWebファンミーティング付きのTasting Set となったわけです。
特に大事な事はリアルであえない中、「一緒に食べる喜びを分かち合う事」をWebという手段を使ってやりたいと思いました。Webでどこまでリアルで会う事を補完できるかはわかりませんが、コミュケーションのツールとしてチョコレートという要素を僕らの価値としています。
もちろんWebセミナーと言う形を実施することが始めてであるため、そのノウハウがない状態であるためそこは学んでいく必要がありますが、単にTasting Set を発売して終わりではなく、Webファンミーティングを付けた形にしました。
Webにする事で物理的な人数制限という制約条件は外れます。ただ、リアルとの違いお客さんの反応がわかりずらいなど問題は出てくると思います。コストはリアルイベントよりも少ないため複数回実施ができます。今回は同様イベントを3回実施予定です。
皆様のぜひTasting Set 買って参加してみてください。そしてフィードバックください。
そして、同じニカラグアプロジェクトで出会った豆で大人気商品の生ガトーショコラ(NUTTY)もアップデートしています。こちらもおすすめです。
最後にもう一度まとめると、
withコロナ時代の商品開発を考える上の一つの観点として、自社の提供価値を細やかに要素分解し、Webを一要素・手段として組み合わせていく事が大事だと思います。
この大きな環境変化を嘆くことなく、ピンチをチャンスに変えて果敢に挑戦していきます。すべての皆さんと知を共有しながら一緒に社会をいち早く正常にいいモノに進化にしていきたいです。微力ながら私は全力で頑張ります。是非一緒に頑張りましょう!
※Minimalの送料無料キャンペーン
皆様に少しでも幸せな瞬間をつくりだすお手伝いができるようにMinimalが全額負担した送料無料のキャンペーンをやっております。ぜひご覧下さい。
5月10日迫った母の日特集もしております。なかなか家族とも会いずらい日々ですがぜひ気持ちをチョコレート贈りましょう!
TwitterもMinimalと山下のアカウント宜しければフォローください!
Minimalのインスタで毎週水曜日20時からモノづくりの素晴らしいブランドさんとインスタライブしております。ぜひミニマルインスタアカウントフォローしてください!
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