風船、とんだ(2023.11.11)
長男の通う小学校で、バルーンリリース(空に風船飛ばすやつ)が行われた。
私はでもずっと憂鬱だった。なぜかというと、このバルーンリリースはPTAが実行委員会として執り行っているのだが、病気とか色々あって、あまり協力できていなかったからだ。
だからせめて当日くらいは協力しようと、私はわりと早めに学校へ行ったが、正直どの面下げて出て行ったら良いものか、よく分からなかった。
私は気が小さいので、そんな事をぐじぐじ考えながら、小学校へ向かった。きっと背中は極端に丸まっていたに違いない。
でも小学校は近いので、あっという間に小学校グラウンドへ到着すると、すでに実行委員の方々がトンボをかけている最中だった。
私は気が小さいものの、なんとなく雰囲気で場に溶け込む事は上手いので、なんとなくいつもそこにいるような顔してPTAの皆さんの輪の中にスッと馴染んでいった。
そのうち各々役割を与えられて、その事によって私の立場は確固たるものとなった。
さて、バルーンリリースであるが、私の役割は風船を子供たちの所へ届けるというものだった。初めて会う保護者の方とペアになって、私は風船を飛ばしてしまうまいとガチガチに緊張しながら、慎重に子供たちに風船を渡していった。
風船を渡されて待っている間に、誤って手を離してしまった子供たちによって、風船はいくつも空に上がっていった。その度にグラウンド全体から「あーーー」と歓声が上がっていたが、あまりにもたくさんの風船が誤って(いくつかはわざとかもしれない)空へ上がっていくものだから、途中からその歓声は「またか」という感想に変わっていった。
そしていよいよバルーンリリース。六年生の児童が10・9・8・7・・・とカウントダウンをしていく。空は昨日の雨が嘘みたいな快晴で、心地よい風が吹いている。
やがて「GO!」の掛け声とともに、600個の風船がいっせいに空へ放たれた。「わーーー」という歓声があがり、みんなが空に上っていく風船を一様に見つめていた。
それは素敵な光景だった。子供たちの先々にどのような未来があるのか分からない。楽しいことばかりじゃないだろう。でも今日のこの時の、みんなで眺めた風船と空は、ずっと記憶に残るんじゃないかと思うのだ。
私は大した仕事はしていないが、結果的に子供たちにバルーンリリースという体験をさせてあげる事が出来て、とても良かったと思う。
途中から来ていたうちの子供たちも、たくさんの風船が空へ飛んで行ったのを見て嬉しかったみたいで、次男(2歳)は「風船、とんだ!」と、長いことずっと言っていた。
ここ最近の私の憂鬱は、風船と一緒に空へ飛んで行った。とても綺麗な空でした。ありがとうございました。
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