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ギャップ(2024.11.12)

夕飯後、幼稚園に通う下二人の弁当を冷食満載で作る。それから何かやたらに多い食器を洗う。「なんでこんなに多いんだ」と愚痴りながら洗うが、誰も私の言葉に取り合ってくれない。子供も妻も、それぞれ別の方向を向いている。言葉と言葉が絡み合ってバイブスを生み出すような事は皆無。言葉たちは空中で空しく雲散霧消していく。

ようやく大量の洗い物が終わって、子供らの歯磨きの仕上げを終える。だいたいそのタイミングで妻は風呂に入っているので、子供らには寝る前のご褒美(というかご褒美の合間に生活がある感じだが)であるポケモンアニメを見させて、私はアイスの「爽」を持って自室に行き、読書をしようと試みる。

「爽」のバニラ味はカップに半分だけ残っている。あとの半分は先週食べてしまったからだ。一度に全部は多いので、こういうふうに私はいつも半分ずつ食べている。一人の時のささやかな楽しみなのだ。

そうやってようやくいそいそと本を読んでたら、ものの5分で妻が風呂から上がってきて、リビングに私がいないと見るや、私の部屋をガラガラっと開けて目をキラキラ輝かせて「今日の出来事」を話してくる。

妻は先日書いたとおり訪問看護師をしているが、事業所の都合により、日によってはデイサービスの看護師も兼務している。妻はデイサービスでの業務が楽しいようで、そこであった出来事を嬉々として私に話してくる。

妻の話は楽しく、とても面白く聞かせてもらって、それはそれで良かったのだが、妻は同じ話を3回くらいする。内心「もうええでしょ」と思っているが、言えない。「そりゃー面白かったね」「楽しいね」などと相槌を打つが、だんだんそれもおざなりになってくる。本をちょっとでも読みたかったのに、わざとやってんじゃねぇかと思いたくもなる。

まぁでもついこの間まで仕事でとてもしんどい目にあってたのだから、ここは我慢して話を聞く。そのうち妻は満足したみたいで部屋を出て行った。

それから夜の23時。寝かしつけからの寝落ちで、子供たちに混ざって眠っていた私は妻に起こされて、次男のパンツをオムツに替える作業をさせられる。次男は寝る前におしっこに行けば大概おねしょする事はないのだが、それでもたまに漏らしてしまう事があるので、こうして寝ている間にオムツに替えている。そしてそれは私の仕事となっている。

寝ているところを起こされるので、私はこの時だいたいイライラしている。そしてなぜか妻も同様にイライラしている。私は作業を終えると「おやすみ」も言わずに自室に戻って行く。お互いに腹が立っているからだ。

ほんの1時間半くらい前には私の部屋で目を輝かせて「今日の出来事」を話していたくせに、この落差はなんなんだと思う。私はギャップ萌えとかではないし、ツンデレに興味もない。もうちょっとフラットに、平常心で一日を過ごしてくれたらどんだけ周りが心穏やかでいられるだろうかといつも思う。まぁ一番心穏やかでないのは本人なのだろうけど。

そうして自室に戻って寝ようとしていたら、この前YouTubeでおすすめに上がっていた、雅楽の東儀秀樹さんがLED ZEPPELINの名曲「天国への階段」をカバーしてる動画を思い出してそれを見て感動し、そこから「天国への階段」のオリジナルや色んなカバーを数珠繋ぎに見てしまって眠れなくなったので、今これを書いています。

でももう寝ます。おやすみなさい。



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