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手遊び大会(2025.02.17)
夜、いよいよ寝ようかという時、寝床の上で突如手遊び大会が始まる。
いつものように寝かしつけ(と言っても一番下の次男ももう4歳だから、寝かしつけというかただの添い寝みたいなものかも)しようと布団が並べてある和室で横たわっていたら、妻もやってきた。
妻は私が寝かしつけをしている間、何やら書き物とか読み物とかしているのが常で、なかなか寝床にはやってこない。だけど今日はよほど眠たかったのか疲れたのか、随分早めに寝床にやってきた。
そうしたら最近「アルプス一万尺」にはまっている長女(5歳)が妻にそれをふっかけた。そして妻もそれに応じて「アルプス一万尺」をやる。めちゃくちゃ速くてもはやよく分からない。長女は顔をしわくちゃにして笑って嬉しそう。妻は妻で、小さな女の子みたいにはしゃいでいる。
そういった「アルプス一万尺」が3セットくらい続いた。私はその様子をうんざりした気持ちで眺めて「早く寝ようよ」と言っていたが、長女のボルテージは上がりっぱなし。手遊びはできない次男も手遊びしている下に潜り込んでみたり、顔を近づけてみたりして、楽しそう。長男(9歳)だけはそんな様子を遠巻きに眺めている。
そうしていたところ、今度は妻が「みかんの花」の手遊びを始めた。そんなのは誰も知らないので、当然長女はできない。妻が長男を誘って一緒にやるけど、なかなか要領を得ない。
そんな様子を私は最初煩わしく見ていたが、なんかできそうな気がしたので、長男に代わって私が妻と「みかんの花」をやった。非常に楽しそうな妻。めちゃくちゃ得意げ。私がなかなか上手にできないのを見てげらげら笑っている。
時間は夜10時を回っている。私たちはますます盛り上がって、嬌声が暗い寝床に響き渡る。子供たちが目をきらきら輝かせて見守る中、妻と私は「みかんの花」を何度かやった。
普段妻の手に触れる事が全くないので、なんだか懐かしいような気持ちになる。妻の手はクリームを塗ったばかりであるためか、しっとりしている。対して私の手はカサカサだ。西部劇の荒野みたいに乾燥し、荒れている。
妻に「こうやろ?こう。ここがこうで、こうやろ?」と何度か指導を受けて、要点を呑み込み、私はやっとこさ「みかんの花」が出来るようになった。ぱちぱちぱちぱちリズミカルに手が鳴る。子供たちはそれを羨望の眼差しで見ている。
最初は「寝る前に手遊びなどやめて欲しい」と思っていた私も、出来るようになると楽しいもので、嬉々として私は「みかんの花」をやった。調子に乗ってちょっと高速でやってみたりする。でも途中で雑念が湧いてくると途端に失敗してしまう。
いい加減時間が遅いので、手遊びはまた明日にして、私は寝床を妻に任せ、自室に戻った。灯りを消して横になると、まだ和室の方からは妻と子供の賑やかな声が聞こえてきた。その声がだんだん小さくなって、やがて聞こえなくなる頃、私も眠ってしまった。