2時間の逃避行(2023.07.02)
幸子(ポメラニアン♀6歳)をシャンプー・カットに連れて行き、それから私は家へ帰らずに少しだけ羽を伸ばすことにした。私がなかなか帰ってこないので、途中妻からお怒りのLINEが届いたが、あまり気にしなかった。
まずラーメンを食べに行った。別府の亀川というところにある元力士の琴別府さんがやっている「いっちゃんラーメン」。私はここのラーメンが熊本ラーメンをベースにしているのでたいへん好きなのだが、妻は脂っこいのが苦手で、以前ここのラーメンを食べてお腹の具合が悪くなったという事があり、それ以来足が遠のいていた。
お店へ着くと、昼時もだいぶ下がった時間であるのに、お客さんがたいへん多い。少し外で待ってから入店。私は迷ったが、より熊本色が濃い「肥後ラーメン」を注文した。
食べて、なるほど熊本ラーメンだと思った。小さい頃から慣れ親しんできた熊本ラーメンの味だ。キクラゲが良い味出している。とても美味しかった。
それからひとつ温泉にでも入ろうかと思い、周囲を検索。亀川の「四の湯温泉」というジモ泉(地元の温泉の略称)に行こうかと思ったが、生憎中休みの時間だった。なので、よく行く場所ではあるが、まだまだ開拓の余地がある(余地しかない)鉄輪地区へ行くことにした。別府はそういうふうに「別府八湯」と言って地区ごとに温泉の特色があって良い。
鉄輪では、鉄輪地区の共同駐車場(無料!)に車を停めて、一路、「谷の湯」というこれまたジモ泉へ向かった。そしてその道中で風情のある風景に時々足を止めた。
とても暑かったので、谷の湯に着いた頃にはだいぶ汗ばんでしまった。
すぐ横にある建物が昔のタバコ屋みたいになっていて、入湯料150円をそこで払うのだが、そのカウンターの奥はまんま茶の間であり、おばあちゃんが普通にテレビなど見てくつろいでいる。おばあちゃんは海苔巻きのようなものをむしゃむしゃ食べていて、私が「どこにお金払うのかな・・」などともぞもぞしていると、おばあちゃんは奥からよいこらしょという感じでやってきて対応してくれた。
男湯に入ると、脱衣所と浴槽が地続きになっているジモ泉。先客が二人いた。地元の人であろうおじいちゃんと、そして多分観光の人。私はその時々で人を見て挨拶をするかしないかを判断するのだが、今日は挨拶しない方が良い雰囲気だったので無言を貫いた。そうして少し熱めの湯に浸かりながらなぜか飾ってある不動明王かなんかの像を眺めたりした。お湯はとても良かった。体にすっと馴染んだ。しーんとした空気感がとても良かった。
私はものの5分程度で湯を出て、さっきのカウンターのところに行き、別府八湯温泉道のスタンプをようやく一個もらった。なんかインクの具合がイマイチで、スタンプしたものの、少しにじんで残念だった。
そうしていると妻から「せめてとり若(最近妻がお気に入りの唐揚げ屋)で唐揚げとコロッケ買ってこい!」というLINEが来たので、ちょうど近くであるとり若へ向かう。その途中にも人々の暮らしとそこに流れる時間の経過が色濃く焼き付いた風景に何度も目を奪われた。
そうして行ってみたものの、とり若は今日はお休みであった。妻にそのことを伝えると、「じゃあ柳屋でシフォンケーキ買ってきて。プレーンと紅茶のとチョコのやつね」と仰せつかったので、それを買いに行くことに。
柳屋というのは一度宿泊したことのあるとても良い旅館なのだが、ここに併設されているお店でシフォンケーキや雑貨などを販売している。そのシフォンケーキがとても美味しく、私たちは気に入っている。
幸い、私が停めた駐車場のすぐそばに柳屋はあり、すぐに着いた。
シフォンケーキを買いながら、感じの良い店員さんが袋詰めしてくれているのを待っていると、唐突に幸福感が訪れた。心の中に一陣の風が吹き抜けるようだった。妻にシフォンケーキを頼まれて良かったと思った。
そろそろ幸子をお店へ預けて2時間が経とうかという頃、お店から電話があり、シャンプー・カットが終わったとのこと。お店へ幸子を引き取りへ行くと、幸子はとても可愛くなっていて、そしてどことなく人懐こくなったような気がした。そして家へ帰ると、昼寝していない子供たちに幸子はもみくちゃにされていた。
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