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温泉チャンス!その28【此花温泉】(2025.01.20)

ある出来事とある出来事の間には名前の付いていない時間というものがあって、これを無為に過ごすのか、それとも活用の道を模索するかによって、生活の質(Quality of LIfe)は違ってくると思う。

私はそういう時間の隙間を縫って、温泉に行く。温泉というのは時間的にも空間的にも意識的に文脈を分断する事が出来る力がある。つまり日常からの隔絶を図る事が出来るのだ。

今回訪れたのは「此花温泉」。

別府の雑多な住宅街のど真ん中、何にも頼らずに見つける事は到底出来ないような場所に此花温泉はある。

看板が唯一の目印


路地の奥に温泉はあって、公民館にしか見えない。そして実際公民館でもある。

此花温泉は2010年に一度火災で焼失している。それを地元の方々が募金を募って再興したのだとか。別府にはそういう温泉がいくつかあって、深い温泉愛を感じる。


入るとすぐに神様が祀ってある。別府ではお馴染みの風景。

入浴料金はたったの100円。このご時世にすごいものだ。公民館と併設とはいえ、建物は綺麗で、受付にもちゃんと人がいる。市営の共同温泉であるとはいえ、たった100円しか取らないのはすごいと思う。

そしてここはちゃんと脱衣所があって、トイレも綺麗だった。私が入った際は最初誰もいなかったので、写真を撮る事が出来た。

うっすら青く澄んだお湯。4~5人は入れる浴槽

お湯はちょうど良い温度。優しい泉質。ほとんど無臭。じわじわと心身がほぐされていくのを感じる。浴室には灯りが灯ってなくて、うっすら暗い。そこに外から西日が入ってきて湯気の中に浮かび上がっている。

しばらくするとぽつぽつ人が入って来た。私は挨拶を交わした。5分程浸かって、私は湯を出た。服を着ているとまた別の男性が入ってきて「ここはいつもこんなに人が少ないんですか?」という趣旨の事をおっしゃったので、「この時間帯はこんなもんじゃないですか。私も初めてなので分かりませんが」とかなんとか答えた。男性は「あ、そうなんですか」と言って笑っていた。私も笑った。

外に出ると1月20日にしては温かく、風が気持ち良い。景色がお湯に浸かる前と違ってきめ細かく新鮮に見える。

近所の一角。謎に色々なものが置かれている。


空き地と新旧の集合住宅


住宅地の中に突如ある教会

なんだかすごく懐かしいような気持ちになって、しかしそれが何に対する懐かしさなのか分からないまま、私は銀行に併設するコインパーキングに停めた車に乗り込んだ。

出庫する際、駐車料金が100円だったので、私はまた「たった100円!」と思った。

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