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「なぁ、あんた、『天使』ってみたことあるか?」 藪から棒に同僚が言う。 「天使だぁ?そりゃ…
「あんたにも『若いとき』なんてもんがあったのか。」 「あったさ。こんなにやさぐれてない頃…
「隕石だぁ?」 「『アマノイワト』・・・・・・あんたも名前ぐらい聞いたことあるだろ?」 アマノイ…
「散々期待させといてつまんなかったらどうしてくれるんだ。」 「あんたガキだね。自分の機嫌…
「眼球だぁ!?」 「ははは!いい反応するね、あんた。」 彼女は快活にケラケラと笑っている。…
「・・・んだよ、それ。」 「ま、信じてくれなくたって良いけどさ。自分の終わりが『見え』ちまっ…
「いやぁ、悪かった悪かった。」 「悪びれる様子すら見せねぇのかよ・・・。」 あーくそ、まだ気持ちわりぃ。 なんなんだあの目。 内側からかき混ぜられた気分だ。 「でもまぁ、ある意味よかったよ。」 「どこが、良かった、だ。」 「あたしと目があって、それでもなんともなかったら、もう終わりだ。」 そう言って、彼女はライターを投げ捨てた。 らしくもない。 「でも、あんたはまだ間に合う。」 なんとか彼女のツラを睨み付ける。 「あんたはまだ『ヒト』だ。まだ、あんたは――ヒトとして死ねる。」
聖域から彼女の声がする。 「タバコの一つや二つ、供えてくれたって良いじゃないか。」 あの時…