みんなで学ぼう真夜中の弥次さん喜多さん基礎
今回の山口幕府のざっくりカルチャーは「真夜中の弥次さん喜多さん」です。
今回はタイトルに基礎と描いてあるとおり、今回は大学の講義でいう基礎、つまり今後発展の授業があなたを待ち受けて、あなたを恐怖のズンドコに陥れるという流れになっております。
この真夜中の弥次さん喜多さん、通称弥次喜多は僕にとってかなり思い入れの強い漫画なのです。その当時の僕の漫画はこうあるべきなんだよなという概念の壁をテポドンでぶち壊した金総書記のような恐ろしいギャグ漫画なのです。皆さんもこの文章を読み終わった頃にはあなたの領空の上をおもしろテポドンが何度も通過する事でしょう。
んーーー、この漫画面白さを伝えるのが非常に難しい!!
じゃあ、まず最初にこの物語の概要とこの漫画のエンディングがどうなるのかからお伝えしましょう。え!?漫画のオチから!?そんなの伝えていいの!?とお思いの皆様、大丈夫です。一番この漫画がどういう漫画か伝わるのはこの漫画のオチにあります。
まず、弥次喜多、東海道中膝栗毛を元に作っています。弥次さんと喜多さんの珍道中、みたいな物語ですね。
真夜中の弥次さん喜多さんはそこに幻獣の足をつけたおぞましいキメラのような漫画となっているんですね。
じゃあ、どんな要素を足したか。弥次喜多では2人はゲイのカップルなんです。かつ喜多さんはシャブ漬けでして、大名行列がお昼休みのランチに向かうOLに見えたり、タミヤの35分の1ミリタリーシリーズの進軍に見えたりと常にスーパーブリブリ状態なんですよね。もう道中が現実なのか、自分の幻覚なのかわからないときたもんでい。
じゃ、オチ言いますね。最後喜多さんは今目の前にいる弥次さんすら実物か幻覚か分からなくなるんです。「あんた本当の弥次さんだろうね…テメェの正体は…!タンゴだ!!!!」ここでタンゴの音楽が流れ、2人でタンゴを踊りながら遠くへ消えていきます。(終)
…えっ…僕ですか?何も吸ってませんけど??甘い匂い??え、いやさっきまでガブリチュウ食ってたからですが。ウォン紙幣??持ってたからなんだっていうんですか??(ピエール瀧参照)マジなんですよ。タンゴだ!!!って言って終わるんです。そういうまでに脈絡があるんだろって?ないですよそんなの。無いからいいんです。この世界の魅力は、作者も含め誰にも何が現実で何が夢で、どこまでが生でどこまでが死なのか全く分からない所にあるんです。
弥次さんは元々ヤクはしてなかったんです。しかし、この2人の行く先々では毎回ぶっ飛びイベントがあるんですよ。
例えば、全てがプラモデルの村に着いた時にはシンナーの匂いで2人でキマッてしまうし、林を歩いていた時には化け鈴虫の鳴き声で2人ともブリンブリンの幻覚を見てるし、2人とも幻覚を見ているからメッチャクチャなんですよ。読者は漫画読んでる間ずぅっと弥次喜多にジャイアントスイングかまされてブンブン振り回されます。
そしてこれが少年時代の山口幕府に風穴を開けることになります。漫画って…こんな不条理でいいの!?ずっとピュー吹く!ジャガーが一番不条理なギャグかと思っていた…!こんなに自由でいいんだ!?それから僕は不条理ギャグの沼に浸かり込むことになるわけですね…南無三…
作者のしりあがり寿が何かのインタビューで答えていたのですが、漫画という枠組みをこのキャラクターを使ってメチャクチャにしたかったそうです。一つも理解できないようなものを作ってやろうと。しかし、こうも言っています。途中からどうしても怖くなって伏線を入れてしまったと…
そう、この漫画、メッチャクチャな話のくせに伏線が紛れています。2人の幻覚はいつしか愛や生と死などの大きなテーマを伴いながらどんどん広がっていきアマゾン川のようにデケェストーリーラインを紡いでいきます。
道中、弥次さん喜多さんは大喧嘩をしてしまい、喜多さんが弥次さんを刺し殺してしまうのです。不条理ギャグだったこの物語はここから一転していきます。
喜多さんは弥次さんに会えない辛さからお酒に溺れます。しかし、そのお酒、幻覚の作用があり、飲んでいるときだけ幻覚の弥次さんと会えるのです。幻覚の作用が切れないようお酒を飲み続ける喜多さん。いつしか幻覚の弥次さんは自我を持ち始めます。酒で意識が朦朧としている喜多さんに、自分の存在が消えないようお酒を流し込む幻覚弥次さん。それが喜多さんを壊してしまう事を分かっていながら、それでもお酒を飲ませ続けなければならない。意識がない中、時々無邪気に笑う喜多さんを見て、幻覚弥次さんは涙を流します。
一方、マジ弥次さんは死の世界で死とはなんなのかをまざまざと見せつけられます。この辺はもう哲学。トロッコ問題なんて比にならないぐらい哲学してるんだから。
幻覚に囚われ、意識のない喜多さん。死の世界にいる弥次さん。この2人どうなるのか。どうやってタンゴに辿り着くのか。ぜひ見てみてください。この漫画のとてつもないエネルギーにあなたはどんどん引き込まれるはずです。
ちなみにコレ、クドカンが映画化してます。(しかも初監督作品)めっちゃ面白いです。漫画は陰鬱なギャグって感じですが、映画版の方がめっちゃ明るくギャグしてて観やすいと思います。例えていうなら、ジムキャリーの実写版マスクと漫画版マスクぐらい明暗が違います。
はい!今日はここまで!今度いつか弥次喜多の発展やるから、震えて眠れよ!!弥次喜多の発展はもっとおどろおどろしくて、もっととんでもない物語になるんだから!!!代返とかマジ許さねぇからな!!!!!
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