【短歌】すごく

すごく夜……愛してくれていた人をうまく愛してみたかったなぁ

すごく!好き!な人!だったの!見本には選ばれそうにない星空で

すごくない同士がいいよ天球儀買ったら二人のものにしようよ

すごくでも忘れたかった落ち着いた頃が来なくて行かないスタバ

すごく黄色い花束に寄る虫のあなたもとてもいい趣味をしてる

すごく観たい映画があって今ここを映画じゃないと認めてしまう

すごく似た仮称あなたの動向をたまに仮称と思わずに見る

すごく寝た夜に見ていたすごい夢それを元手に会社を興す

すごく痛いでも嬉しいを繰り返し愛ってなんも健全じゃねぇ……

すごく期待していた人のことだけは守ってくれるラーメン店主

すごく笑ってくれたせいだよ気がつけばマジで知らない人とM-1

すごくない?すごくないって返してよそういう君がすごく好きだよ

すごく愛 それってたとえば言わんでも味噌ラーメンを出すような人

すごくよく見るんですよね彼以外誰も渡らんあの吊り橋で

すごく効く薬を買って手始めにすごく酷くさせておく人かよ

すごく春 動く歩道で動かない人間をする時が幸せ

すごく夏 わたしの長居を皮切りにワゴンセールに気づく人々

すごく秋 バイトリーダーの十八番がいつしかみんなの十八番になった

すごく冬 放置自転車回収の人を数えておやすみなさい

すごく雪 あれをきれいと思えてるうちは大丈夫だよ、世界

すごく咲く花なんですねこんなにもネットは荒れ果てている夜でも

すごくいい声をしている先輩が詐欺を?息子を騙ったんすか?

すごく未来(あなたがたった今浮かべた景色の中に銀色がある?)

すごく過去(写真も紙もない世界においてもセピア色でしょうか?)

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