ガブリエル・ゼヴィン『書店主フィクリーのものがたり』を読んで
『書店主フィクリーのものがたり』ガブリエル・ゼヴィン 2015.10.22 発行 早川書房
心温まる話でした。悲劇が起こった中で、物語の中も現実の世も同じ。
フィクリーは偏屈な少し変わった人だというイメージが、途中から変わり始め、あたたかい色に染めっていくようでした。
彼がお店に置き去りにされていた女の子・マヤに出会ってから、次第に当たり前のように、人と人がつながり心が結びだし、気が付いたら最後まで読んでしまいました。
彼が不器用なりに少しずつ、成長していく過程が微笑ましかったです。人は変わっていける。失っても取り戻すことができると感じました。
レア本を盗まれたり、店に捨て子がいたりするのに、警察署長であるランビアーズの対応ぶりはある種のユーモアにさえ感じます。
ランビアーズがフィクリーの影響で「本の虫」になっていくところも良かったです。
生きることはしんどいことで、傷付くこともある。でもそれと同じくらい、もしかしたらそれ以上に楽しいことや素敵なことも日々に溢れていると思わせてくれる内容でした。
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