紀南弁~「立てる」と「どける」~
大きくは和歌山県全体で紀州弁と分類されるよう。
和歌山県南部のことばを特に紀南弁と呼んでいる。
関西のイントネーションだけど
いわゆる"関西弁"・"大阪弁"とは全然ちがう。
独自の方言。
紀南でも西と南東でだいぶと様相は異なるけど、
今回はまとめて「紀南弁」。
地元の高齢の方同士の会話は一部わからないことが多い。
聴き取りきれなくて聞き返すと、
共通語っぽく言い直し説明してくれることもあるが、
その説明でもわからないことがある…
それは嘘。すみません。
丁寧に説明してくれたら大方わかります。
でも
だいぶ僕も慣れてきたとはいえ、
一瞬止まって考えないといけない単語が今でもある。
意味がわからないわけではない。
ありふれた簡単な動詞だけど、
一瞬「ん?」ってなる。
それが
「立てる」と「どける」。
たぶん一般的には、
(ローカルの文化圏ではもう何が一般的かわからない)
「立てる」も「どける」も
口語文法上、他動詞に分類されると思う(目的語を伴う)。
しかし紀南の人たちは自動詞で使う(目的語なしで成立する)。
以下、共通語を紀南弁に言い換えてみる。
共通語:「立ってください」
⇒紀南弁:「立ててください」
共通語:「(私が)立ってみようか」
⇒紀南弁:「(私が)立ててみようか」
共通語:「そこ、どいてください」
⇒紀南弁:「そこ、どけてください」
共通語:「(私が)どきます」
⇒紀南弁:「(私が)どけます」
…どう?
本来他動詞と思われるもの(もうなにが"本来"なのかわからない)を
自動詞として使っている。
僕は今でも
「そこどけてー!」
って言われたら
「なにを?」
って思ってる。
おっちゃんが一人で
「さぁー立ててみよか」
って言ってたら
「なにを?」
って思う。
慣れろよって思われるかもしれないけど、
違和感というのはそんなもんだ。
紀南弁、
まだまだいろいろある。
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