【1Q84】人生は回収できないことが普通
村上春樹『1Q84』では、物語の終わりまで詳細が明かされず、謎が謎として残されたままのエピソードがいくつかあったと記憶している。
そらそうよな。
むしろ回収されないことの方がリアルやんな。
自分の出自にまつわることや、物心つくかつかないかの時期の断片的な記憶について、もしかしたら不明なことが不明のまま、墓場まで持ち越されるということはあるだろうと思う。コトの大小を問わず。
(あの時のあれはどういうことだったんだろう?)
自分の生活に謎が残されていると、人は、少なくとも僕は不安になる。
今となっては知る術のないこと。
尋ねたら、もしかしたら誰か教えてくれるのかも知れないけど、
自分が期待する答えかどうかわからないし、知ったところでどうしようってなるし。でも逡巡するほど、一刻も早く安心を得たくなる。でもそんな安心は得られないことも分かっている。
そんな時に「人生は回収されないことが普通」という教訓を得る。
過去の不安な出来事について、自分を肯定しきれないことがいくつかある。そしてその時の詳細を掘り起こしたくても叶うことはない。
過去も含めて自分を肯定できたらいいけど、動かしようのない出来事は肯定できないまま置いておく。回収できないことはある。
その代わり今と今以降を肯定できればいい。
今を肯定できれば過去は肯定できていなくても大丈夫。
ほんまに大丈夫かな